『ACMA:GAME アクマゲーム』清司と照朝、最後の親子対決 吉川晃司の“父”としての説得力

謎の組織「グングニル」のトップである「ガイド」・清司(吉川晃司)と照朝(間宮祥太朗)の最後の親子対決が描かれた『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)第9話。

照朝は毛利(増田昇太)に、「グングニル」からの攻撃を受けず不毛な決勝戦を回避できるように、この島を丸ごと閉鎖空間で包み、電波塔を封じ込むように依頼。さらにその際にガイドの部屋だけは覆わずに認識してほしいと言い添え、自分は清司にアクマゲームを挑む。

照朝は「グングニルの壊滅」を、清司は「照朝の過去との決別」を懸けたゲームが始まるが、その内容は「三単究明」。それぞれが互いが共通して知っている単語を石板に書き、その相手が書いた単語3つを、質問を重ねながら当てるというシンプルな内容だ。

そして、清司は自身が正解を叩き出す度に母親の形見であるピアスを手放すことを照朝に要求し、続いてかつて自身が所持していた腕時計を照朝から没収し、息子にどんどん過去との決別を促す。それを清司は照朝のことを愛しているからで、13年前の死の偽装以降についても“いつか自分のところに辿り着くと信じていた”と言ってのける。そして、そのためには過去への執着を捨てる必要があるのだと口にする。「過去に執着するのは弱さの表れ」と、やけに照朝と過去に固執する清司は、自分自身にもそう言い聞かせているかのようだ。

清司役を演じる吉川晃司は、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)ではヒロインが通う航空学校の鬼教官役を担い、その場を掌握する圧倒的存在感を放っていた。孤高な役どころが似合う吉川だが、『トリリオンゲーム』(TBS系)では投資家・祁答院一輝という謎に包まれた豪快でポップな役どころを好演しており新鮮だった。本作でも、接触してきた崩心(小澤征悦)に半信半疑で対峙しながらも、大義を背負って思い切った行動に出る、ある意味独りよがりとも言える会長兼父親役を熱演している。

久々の再会ながらも照朝の中でいかに父親の存在が大きかったのか、一瞬にしてこちらにも納得させてしまう説得力が吉川にはある。憧れの存在としてその背中を追いかけていた父親が昔の面影をすっかり潜めてしまい、狂った世界を創り変えるために「たとえ世界の人口が半分になろうと、計画を遂行する」と迷いなく言い切る。そんな姿に大きな衝撃を受け、自暴自棄になってしまう照朝の気持ちも頷ける。

そして、父親が自分にとっての幸せの象徴である思い出の一品・モグモグチョコレートを選んでくれていることに懸けながらも、それが不正解という事実に、照朝は自身が圧倒的不利な戦況に立たされたこと以上に、また違った寂しさと言いようのない失望を覚えたことだろう。

何とか少しでも長く閉鎖空間を継続させようと勝敗がつかないように、ゲームを延長に持ち込もうとしていた毛利を前に、対戦相手の伊達(福山翔大)が自身の負けを持ってして勝敗をつけ、閉鎖空間が解かれてしまうアクシデントも起きる。

圧倒的知識量を誇り、「ファルコンジョー(記憶の共有)」という恐ろしく有利な“悪魔のチカラ”まで持ち、そして普通の人間では選択しないやり方で圧倒的勝利を演出しようとする清司。はたして照朝の勝ち目はあるのだろうか。次回いよいよ最終話だが、照朝は大切な仲間や世界、そして家族との思い出を守れるのか。

(文=佳香(かこ))

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