トレンドは「保険適用外」の自由診療も保障! 激変中の「がん保険」をファイナンシャル・プランナーが解説

医療の進歩により、がん保険では抗がん剤治療、先進医療費用などの保障内容が充実してきている ※イメージ(写真・AC)

「ひと昔前のがん保険は、おもに『診断時』『入院費』の2つに対して給付金が支払われていましたが、近年は、これに『治療費』が加わりました。医療の進化に対応して、保険も変化しています」

こう語るのは、ファイナンシャル・プランナーで「マネーステップオフィス」代表の加藤梨里(りり)氏だ。

従来のがん保険は、たとえば診断時に50万円、手術費20万円、1週間入院(日額1万円)で7万円、合計77万円が支払われるといった、一時金と入院費用だけの保障だった。

だが、医療の進歩により、がんは入院治療から外来、通院治療が主流となりつつある。そのぶん、抗がん剤治療、先進医療費用などの保障内容が充実してきたのだ。

「治療のための抗がん剤の種類が増えてきて、保険適用外の自由診療でも保障する商品がトレンドになっています」(加藤氏、以下同)

そもそも、がんになった自分を想像するだけでも難しいが、その保障内容を選択しろといわれても理解が及ばない。保険を選ぶ際には、どこに注意すればいいのか。

「保障期間が限定される定期型は、更新のたびに保険料が上がり、がんが再発しても支払われないか減額される商品もあります。充実した保障を望むなら、定期型より終身型のほうが向いています。また、共済系は60歳を過ぎると給付金が半分以下になるものもあるので、注意が必要です」

20代であれば、月額1000円台から加入できるが、40代、50代となると、支払い額は跳ね上がる。それでもがん保険に入るべきなのだろうか。

「手持ちのお金に余裕があるかどうかが、最初の判断ですね。日本は高額療養費制度のおかげで、年収によって月々の医療費の支払い額の上限が決まっています。だから、短絡的にがん保険に入らなければいけない、ということはありません。ただ、がん治療は長期にわたる可能性があります。いつまで支払いが続くのか――という心理面をカバーするのも、保険の役割だと思います」

では、実際に加入する場合、目安となる保険金額は?

「一例として、一時金50万円、月額治療費10万円、手術20万円、入院日額1万円あれば、受取総額が100万円前後になるでしょう。すでにがん保険に加入している人は、10年ごとに見直したいところ」

非喫煙者だと安くなったり、差額ベッド代を保障してくれる特約があったり。最新のがん保険は、至れり尽くせりだ。昔、入った保険に掛け金を払い続けている方は、チェックしてみよう。

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