福井県内の特殊詐欺被害…北陸新幹線開業で加速する? 石川、富山では金沢延伸時に激増

 福井県警のまとめによると、2023年の県内の特殊詐欺被害は29件6034万円で、前年比で3件3068万円増加した。北陸新幹線県内開業に伴い、金品を回収する「受け子」の流入が懸念される中、県警は現金やキャッシュカードを家族以外に渡さないよう注意を呼びかけている。

 県警生活安全企画課によると、手口別では「未払い金がある」など実在しない話を持ちかける架空料金請求詐欺の被害が14件2428万円で最も多かった。そのうち実在する通信事業者をかたる手口が、前年比8件増の9件に増加した。

 オレオレ詐欺は7件1908万円、預貯金詐欺は5件1489万円だった。1人当たりの最大被害額は1075万円で、検察庁をかたる預貯金詐欺だった。

 被害者29人のうち、高齢者は20人。年代別では80代の9人が最も多かった。被害のきっかけは、自宅の固定電話にかけてくるケースが依然多く14件。県警は非通知の着信を拒否する通信事業者のハード対策を導入するよう呼びかけている。携帯電話にかかってくるケースは5件(前年比4件増)だった。

 摘発人数は過去5年で最も多い17人(前年比4人増)。全員が県外居住者だった。そのうち13人がグループの末端である受け子や出し子だった。

⇒最近あった特殊詐欺の手口一覧

 北陸新幹線が金沢まで延伸した2015年、受け子が絡む手口の被害が、石川県で前年比30件増の38件、富山県で25件増の43件と激増した。福井県でも新幹線開業に伴う被害増加が懸念され、県警はコールセンターやアプリを活用した注意喚起に注力している。

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