全日本プロレスを退団した「俺が大巨人」石川修司は新たなレスラーライフを楽しんでいた

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

<写真:柴田惣一>

俺が大巨人! 石川修司がフリー生活を謳歌している。1月末をもって全日本プロレスを退団し、フリーレスラーとなって4か月。様々な団体に参戦し暴れまくっている。

「団体に所属していると、年やキャリアもあって、自分のことよりも団体を優先していた。今は、自分自身のためにチャレンジできる」と、大巨人の大きな頬がゆるんだ。

ファイトスタイルも闘い方も、もちろん参戦団体の考え方も考慮しながらだが、基本は自分のやりたいようにできる。キャリア21年にしてリボーン。自分のプロレス観の原点に立ち戻った大巨人である。

いろいろなリングにあがることで、ファンの楽しみ方も多様化していることに気づいた。「団体によってそれぞれの個性や色があり、ファン層が違っている。レスラーに何を求めているのか。改めて勉強になる」と神妙だ。

若き王者が誕生し、若いファンが推し活をしてくれる。選手もファンも若さの勢いは、何ものにも代えがたい。とはいえ、このまま時の流れに身を任せるつもりはない。21年目のニュー大巨人は新たな闘いに乗り出している。

ノアの5・4東京・両国大会で、GHCハードコア王座をニンジャ・マックから奪い取った。華麗で予測不能な空中殺法を切り抜けた末の戴冠だった。「大巨人VSジュニアのマスクマン」という異色のタイトルマッチは、フリーになったればこその一戦だった。

石川と互角の体格を誇るモハメド・ヨネと6・19東京・後楽園ホール大会で一騎打ちが決まった。「彼もベテラン世代だけど、まだまだできる。彼の熱い想いがよくわかる。さあ、思い切りぶつけ合いましょう」と嬉しそうだ。

キャリアを積んだからこそ、できるファイトもある。円熟の攻防を楽しみにしているファンも多い。21年目のニュー大巨人を心掛ける石川にしてみれば、願ってもないバトルかも知れない。

「フリーだからこそ、1試合、1試合を大切にして、何かを残してやるつもり」で臨んでいる。一期一会。毎日が勝負であり明日なき戦いだが、大巨人ストーリーは今後につながっていく。

ファンとの触れ合いもより大切にしたい。6月20日、東京・水道橋グラマスオレンジでデビュー21周年記念イベントを開催する。フリーの同志・ブラックめんそーれも駆けつけてくれる。

「フリーだからこそ、ファンの皆さんとより近づける。グッズもどんどん発売していく。大巨人人形も発売中」と、またまたジャイアントスマイルが爆発した。

つい先日には、アレコレと忙しいスケジュールの合間をぬって、闘病中のファンを見舞った。大巨人がいきなり出現し病棟はざわついたが、温和な笑顔に看護師さんたちも癒されたという。

術後の経過が芳しくなく、痛みに苦しんでいたファンも「石川さんのおかげで元気が出ました。お見舞いに来ていただいたことは生涯忘れません」と感激しきり。

「気は優しくて力持ち」を地でゆく、心優しき「俺が大巨人」石川修司の新たなレスラー人生に幸あれ。

<写真:柴田惣一>

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