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米YouTuberのMrBeast(ミスタービースト)さんが運営する公式チャンネルの登録者数が2億6900万人を突破。世界で最も登録者数が多いチャンネルとなった。
それまで世界一位に君臨していたのは、インドの音楽レーベル「T-Series」の公式YouTubeチャンネル。こちらの登録者数は現在2億6600万人となっている。
MrBeastさんは、2023年10月にチャンネル登録者数が2億人を突破。そこから約8か月で「T-Series」への猛追を見せ、ついには追い抜いた。
大規模な企画で知られるYouTuber「MrBeast」
MrBeastさんは、視聴者に島をプレゼントしたり、ランボルギーニをシュレッダーにかけたりといった大掛かりな企画で知られるYouTuber。
時には、数億円の予算をかけた企画や「○○ができたら1000万円の賞金」など、一般人を動員してのチャレンジ企画も行っている。
字幕だけでなく国別の吹き替え音声も用意するなど、世界向けてチューニングされた動画は、安定して1億回以上再生されている。
動画の中にはチャリティー的な企画も存在し、過去には2000万本の木を植樹したり、1000人の視覚障害者の治療費を肩代わりし、視力を回復する手術を受けさせたことも。
これらの動画には、称賛する声と同時に「偽善的」「人を見せ物にしている」という批判も寄せられ、議論を巻き起こしている。
MrBeastが言及した“ピューディーパイの仇を討った”とは?
今回の記録達成に際して、MrBeastさんは自身のXに「After 6 years we have finally avenged Pewdiepie(6年越しにピューディパイの仇を討った)」と投稿している。
ここで触れられている6年前の出来事とは、YouTuber・PewDiePie(ピューディパイ)さんとT-Seriesの間に発生した、YouTubeのチャンネル登録者数世界一位を巡る競争のこと。
この競争は2018年から2019年にかけて起こり、「Great Subscriber War」と呼ばれている。
当時、世界一位だったピューディパイさんのチャンネル登録者数にT-Seriesが追いつきそうになったことを受け、競争が開始。
個人対企業という構図だったこともあり、他のYouTuberたちの中でもどちらを支持するかで対立が起こり、大きな騒動に発展した。
MrBeastさんは、当時ピューディパイさんを支持した一人。
2018年10月には町中の広告スペースを購入したり、広告トラックを走らせてピューディパイさんのチャンネルへの登録を呼びかけた。
YouTubeの域を超え社会問題化した6年前の競争
かつての競争では、ピューディパイさんとT-Seriesの競争が激化するにつれ、過激なファンによるキャンペーンや便乗した悪意ある第三者による行動が社会問題化していった。
一方で、T-Seriesは「#BharatWinsYouTube」というハッシュタグをつくり、SNS上でインド国民に登録を呼びかけたことで、ナショナリズムを煽っているとの指摘を受けている。
そんな中、2019年にニュージーランドで発生した銃乱射事件で、犯人が「ピューディパイに登録しよう」と口にしている動画が拡散されてしまう。
抜きつ抜かれつで長らく接戦が続くも、最終的には2019年4月にピューディパイさんが上記の事件などを受け、終結を宣言する動画を投稿。
動画の中では、被害者への配慮などから事件への言及をなるべく避けていたものの、「あの時点でこの騒動を終わらせておくべきだった」と後悔しているとコメント。
個人的な競争が人種や政治、国籍と結び付けられて語られている事態に対しては「そのような意図はない」「人種差別に賛同はしない」と明言した。
ピューディパイさんはさらに「登録者数1億人という目標を達成したいだけで、誰かを打ち負かしたいわけじゃない」「みんなの応援をネガティブなメッセージの拡散に利用されたくない」と終結を宣言した。
再び国民に呼びかけるT-Seriesと煽るMrBeast
今回のMrBeastさんとT-Seriesの競争においては、2024年4月17日にT-Series側がインド国民に登録を呼びかける動画をXに投稿。
その中には、T-Series創設者である故gulshan kumarさんの名前と共に「I, Want to put India and my people at Top of the international platform.(インドと私の国民を国際的なプラットフォームの頂点に立たせたい)」という文章が登場している。
この投稿に対し、MrBeastさんは「代わりに自分に登録して」と返信。
その後も、「I challenge the CEO of T-Series to a boxing match(T-Seriesの社長にボクシングの試合を挑む)」などと挑発するような投稿を行っている。
今回、MrBeastさんが世界一になったことに対して、T-Series側はまだ反応を見せていない。
今後、6年前のような事態に発展する可能性もあるが、健全な競争の範囲で終わることを願いたい。