日本に敗れた中国女子バレー、エース起用法に母国メディア疑問「誰もが困惑」「時間はあまりない」

女子バレー中国代表のシュ・テイ(左から2番目)【写真:Getty Images】

ネーションズリーグ女子

バレーボールのネーションズリーグ女子はマカオで3日まで行われた1次リーグ第2週を終え、日本は8試合で6勝2敗の4位につけ、世界ランキングでもアジア最上位の6位となっている。5月31日に行われた中国との大一番では3-1(25-22、19-25、25-18、25-17)の勝利を収め、パリ五輪出場に向けて前進した。敗れた中国ではメディアからその後も続いた“エース外し”の采配について「誰もが困惑した」「他の編成が合理的に行われていないのではないか」といった疑問の声が上がっている。

五輪キップを争うアジアの頂上対決は、ワンサイドと言ってもいい内容だった。試合は1セットずつ取り合ったが、そこから日本が2セットを連取。明暗を分けたのは「エース」の活躍だった。日本は古賀紗理那(NEC)が両チーム最多の25得点。一方の中国は2016年リオ五輪MVPの朱婷が第4セットから出場したが、6得点に終わった。

これについて中国メディア「半島都市報」は「朱婷を控えにおいて、中国女子、イタリアに敗れ、世界ランキングで日本に抜かれる」との見出しで記事を掲載。「中国はイタリアとの試合で苦戦し、最終的に0-3で敗れて、2勝2敗の戦績でマカオラウンドを終えた」と記したうえで「今日の敗戦で、中国は世界ランキングで9.3ポイントを失い、日本の後塵を拝することとなった。ファンが理解に苦しむのは、肝要な一戦だった今日の試合に、前の試合に先発メンバーで出場した朱婷が先発せず、ベンチを温めていたことだ」と続けた。

中国は日本に敗れた翌日の1日にタイに3-0で完勝。記事では「タイとの対戦で、朱は代表チーム復帰後初めて先発メンバーとして出場する機会を与えられた。その結果、朱は素晴らしいプレーで17得点を挙げ、タイ撃破に貢献した」と朱の活躍に言及したが「重要な意味を持つ最終戦、強敵イタリアとの試合にも、前の試合で活躍した朱が引き続き先発メンバーに入るものと誰もが思っていた。ところが蔡斌監督は朱を先発メンバーに加えなかった。この配置には誰もが困惑した」と翌2日のイタリア戦での起用法を疑問視。試合はイタリアにセットカウント0-3で敗れた。

中国は2勝2敗でマカオラウンドを終了。世界ランキングで日本に抜かれた。パリ五輪出場権獲得の選定基準は、今大会の1次リーグが終わる6月17日時点での世界ランク。ここでアジア・オセアニア枠のトップに立つか、すでに出場権を獲得している7か国と、まだ出場国が決まっていないアフリカのトップを除いた上位3チームに入るどちらかが必要になる。同メディアは「世界ランキングで日本に抜かされたとはいっても、現行の規則に従えば、中国女子のパリ五輪出場の可能性は依然として高い」と出場そのものについては楽観視している。

一方で「マカオラウンドが終わったが、外部では、蔡斌監督の選手起用が議論を呼んでいる。朱が安定した出場の機会を与えられていないことのほか、他の選手の構成が合理的に行われていないのではないかなどについて注目が集まっている。パリ五輪開幕まで2か月を切った今、女子バレーの調整に残された時間はあまりない」と先行きを案じている。

THE ANSWER編集部

© 株式会社Creative2