コロナワクチン接種後に男性死亡 遺族が国や神戸市など提訴

提訴後の記者会見でワクチン接種を巡る国や神戸市などの責任を訴える男性の遺族ら=3日午後、神戸市中央区東町

 新型コロナウイルスのワクチンを接種した翌日に死亡した神戸市北区の小倉豊彦さん=当時(73)=の遺族が3日、ワクチンのリスクなどについて説明責任を果たさずに接種を推進したなどとして、国と神戸市、ワクチンを製造した米ファイザーの日本法人に対して計約3200万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。

 訴状などによると、小倉さんは2021年6月にファイザー製のワクチンを接種し、翌月9日に2回目を受けた。その翌朝、自宅のベッドで心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認された。死因は急性心不全だったという。脳梗塞の後遺症や糖尿病などの持病があった。

  原告は兵庫県内に住む小倉さんの兄弟3人。国に対してはワクチンの安全性を十分に検証しないままワクチンを特例承認し、ファイザーと接種を進めたとして「故意または重大な過失がある」と主張する。

 また、神戸市については「安全性の確証もないまま接種を推進した」と述べ、接種から亡くなるまでの時間が短いことなどから「ワクチンの副作用以外に原因が考えられない」と主張。解剖検査は行われず、「接種との因果関係を解明すべき義務を怠った」などとしている。

 提訴後、神戸市内で会見した弟の清輝さん(69)=神戸市長田区=は「兄がもっと長生きしていたのではないかと思うと悔しい」などと話した。

 厚生労働省は「訴状が届いていないのでコメントを差し控える」、神戸市は「訴状が届いてから対応を検討したい」とした。

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