インボイスとは「税金の押し付け合い」? あなたが選択するかもしれない“地獄の三択”とは

お笑いタレント、大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) が6月3日に放送され、皓星社から発売されている『インボイスは廃止一択 消費税の噓がよくわかる本』を著した、ジャーナリストの犬飼淳さんが出演。インボイス制度の問題点を伺った。

大竹「インボイスはやる前から問題が多いと言われていたのに、大手メディアはあんまり取り上げませんでしたね。どうしてですか?」

犬飼「それは新聞とかテレビとか大手メディアの方々自身が、責任を持ってしっかり説明していただきたい、というのが本音なんですけれども、代弁すると、新聞は軽減税率で優遇を受けていますので、おそらく想像するに消費税に関する問題を指摘しづらいんだと思います。テレビ局に関しては、いわゆるクロスオーナーシップという株式を相互に持ち合う形になってますので、日本テレビであれば読売新聞、TBSは毎日新聞と運命共同体ですので、同じ方針になってしまったんだと想像します」

大竹「このインボイスですけども、大まかに、どういう制度なのかお話いただいてよろしいですか?」

犬飼「非常に複雑なのでも、ちょっと割愛して説明しますね。最大の問題は、とにかく弱い立場に対する税金の押し付け合いであるということです。この番組の出演料を例にして説明すると、まず出演者のみなさんは、年間売上1000万円以下の個人事業主と仮定します。取引の発注元である文化放送は、取引の発注先に当たる出演者がインボイスに登録していない場合、仕入れ税額控除という、仕入れにかかる税金を控除する仕組みが、昨年10月にインボイス制度が始まったことによって、できなくなりました。つまり税の負担が増えるわけです。文化放送としては税の負担を増やさないために、出演者に対していわゆる『地獄の三択』を迫らなければならない可能性が出てきます。まず一つ目は、出演者に対してインボイス発行事業者に登録するように依頼をする。2つ目は、もし登録しないのであれば出演者の報酬から消費税相当分を値引きする。3点目、最悪の場合もう取引自体を停止する。これはあくまで例であって、文化放送さんは現時点ではインボイスに登録してなくても出演料は変わらないという、非常に良心的な対応をしています」

大竹「ああ、そうなんですか(笑)」

犬飼「ただ恐らく、ある程度の体力があるそれなりの大企業だからできることであって、これが零細企業とか中小企業とか、ギリギリでやってる事業者は、本当に自分たちが潰れちゃうわけだから、泣く泣く取引相手に対して、先ほどの『地獄の三択』を迫らざるをえないわけです」

大竹「例えばフリーランスのカメラマンが、インボイスに登録してくださいと言われたとします。なぜかというと、登録しないとカメラマンを雇ってる、雇い主の方が税を負担しなくちゃいけない。だからインボイスに登録してください、もししないなら、あなたは使えませんよと。それで、1000万円以下の事業主は、登録をせざるを得ない形になるわけですね。この登録をすると、どのくらい負担がかかるものなんでしょうか?」

犬飼「登録自体は、登録発行事業者に「登録します」と申請をするだけなので、そこまで手間ではないと思います。問題はその後ですね。まず今まで免除された税金、消費税相当額を負担する。もうこれだけでも大きいですよね。あと、課税事業者になったということは、それこそタクシーに乗った時とか、芸能人の方なら美容室に行った時とか、衣装とか、そういう細かな経費まで、インボイスの登録番号が書かれているものでなければ税の控除ができなくなるので、めっちゃくちゃ面倒くさいです」

大竹「例えば僕は、これは衣装ですと申告したのに「あんたそれ、普段も着てるから衣装じゃありませんよ」って蹴られたりしたことがあるんですけど、そういうふうに細かいチェックが入るんですか?」

犬飼「これはいやらしいところで、〇〇になってきてるってのが実情です」

© 株式会社文化放送