矢祭の盛り土復旧命令、福島県 申請者に撤去、植栽求める

県の復旧命令を受けた盛り土の現場=5月29日、矢祭町

 矢祭町の保安林1カ所で森林法に違反した盛り土が確認された問題で、福島県は3日、保安林に隣接した土地を巡って同町に小規模林地開発許可を求めていた申請者に対し、復旧命令を出した。命令では9月上旬までに盛り土の撤去や、森林復元のために植栽への着手を求める。命令に応じない場合は刑事告発する方針だ。申請者は個人で、県は氏名を明かしていない。

 県によると、この申請者は「保安林に隣接する森林1ヘクタール未満で盛り土を造成する」として、同町に開発許可を求めただけだったのに、盛り土が保安林まで拡大していることが今年2月に判明。保安林を管轄する県は、申請者に工事中止と復旧計画の提出を求める行政指導をしていた。

 しかし、期限内に復旧計画を提出しなかった上、5月31日までに提出しなかった理由を弁明する書類の提出にも応じなかったため、県は復旧命令に踏み切った。県は9月上旬までに着工に応じた場合、来年1月末までの工事完了を求める。県は「必要に応じて指導を行い、現場の状況を確認したい」としている。

 関係者によると、盛り土された土地を所有しているのは、茨城県つくば市の会社という。同社を巡っては、西郷村の林に無許可で盛り土したとして、白河署が5月23日に森林法違反(無許可開発、中止命令違反)の疑いで、同社役員の男(59)を逮捕している。

© 福島民友新聞株式会社