深夜2時「臭い」 寝る前に工場から出る黒い煙見つけた男性が通報 「計り知れないほど大きな役割」冷静な判断と勇敢な行動に称賛

消防協力者表彰を受けた足利佳祐さん(左)と太田泰彰東消防署長=5月29日午前、川口市坂下町の川口市消防局東消防署

 火災を発見し、迅速な通報、初期消火実施により延焼拡大防止に協力したとして、埼玉県の川口市消防局東消防署は5月29日、同市の会社員足利佳祐さん(33)に感謝状を贈った。

 同市東消防署管理課によると足利さんは4月21日午前2時50分ごろ、同市東本郷の工場から煙が出ているのを発見。119番後、工場関係者へ連絡し、消防隊が到着するまでの間、駆け付けた工場関係者とともに建物内に入り、備え付けの消火器で初期消火を実施した。同課によると工場周辺は住宅地、商業地で、通報が遅れ、延焼が拡大した場合には甚大な被害が発生していた可能性が高いという。

 出火当時、足利さんは自宅で就寝前だったが、焦げ臭いにおいがすることに気付き、外に出て周囲を確認。工場の換気扇付近から黒い煙が出ているのを発見した。消防に通報する間も「パチパチ」と音が大きくなり、目の前で火災が広がりつつある様子が感じられたという。「燃えている煙を見て『おっかない』との思いはありました」と振り返る足利さん。初期消火実施は「通報した責任もある」との思いだったという。

 感謝状を手渡した太田泰彰川口市東消防署長は「冷静な判断と迅速で勇敢な行動。果たした計り知れないほど大きな役割は、われわれの活動を大いに助けていただいた」と対応を称賛した。足利さんは「何が起きるか分からない。日頃から家でも火の元、コンセント周りなど電気関係にも気を付けたい」と自らを引き締めるかのように話していた。

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