骨太方針で円安影響に言及へ、「家計購買力」への波及懸念=政府筋

Takaya Yamaguchi

[東京 4日 ロイター] - 政府が近くまとめる経済財政運営の指針(骨太方針)で、円安による輸入物価上昇の影響に言及することが4日、分かった。内需を支える「家計購買力への影響に注意が必要」と明記する。ロイターが素案を確認した。

直近の実質国内総生産(GDP)は、内需を両輪で支える消費・設備投資がともにさえず、2四半期ぶりのマイナス成長となった。2024年1―3月期のGDPギャップは6兆円の需要不足となり、岸田文雄首相が目指す「デフレ完全脱却」という姿には、なお及ばない。

政府は、6月の定額減税で物価上昇を上回る家計所得の伸びを実現する構えだが、状況が改善しなければ追加策を求める声が出そうだ。

経済環境を巡り、骨太では「個人消費を中心に足踏みが見られるが、緩やかな回復が続いている」との認識を示す。

一方、現時点では「賃金上昇は物価上昇に追いついていない」と指摘。世界経済を取り巻く不確実性に加え、「円安による輸入物価の上昇を通じた家計の購買力への影響などにも注意が必要」と追記する。

指針策定に先立つ5月7日、首相は日銀の植田和男総裁と官邸で会談し、円安について「十分、注視していく」ことを確認していた。

日銀には「経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する」としている。当局者からのコメントは得られていない。

前年の骨太では、日銀に対し「経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを期待する」としており、物価2%の継続的な実現に向けた記述は大筋で変わりない。

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