トコジラミの被害が急増 1匹持ち帰ると500匹に……|今すぐ家の中をチェックした方がいい!トコジラミの見つけ方と駆除方法

梅雨の到来を待つにあたり、早めにチェックしておきたいのがトコジラミ。

トコジラミとは、かつて「南京虫」「床虫」として知られた害虫です。

日本ではすでにいなくなったと考えられてれていましたが、近年になって被害の相談件数が増えています。

この記事では、トコジラミの概要や家庭内に潜むトコジラミの見つけ方・駆除方法をまとめました。

噛まれたときの対策や予防対策についても紹介しているので、あわせてチェックしてみてくださいね!

※記事内にはトコジラミの実物画像も出てきます。苦手な方はご注意ください。

トコジラミはカメムシの仲間

「シラミ」という名称ではありますが、トコジラミはシラミの仲間ではありません。

トコジラミはセミやカメムシと同じ、「カメムシ目」の害虫です。

うっかり触ると、カメムシと同様に悪臭を放ちます。

トコジラミとはどのような昆虫なのか、詳しく見ていきましょう。

トコジラミの外見的な特徴

  • 体長(成虫):5~8mm
  • 体形:丸い扁平形
  • 色:茶褐色
  • 種類:トコジラミ・ネッタイトコジラミ

トコジラミは、平たく丸い形状をしたダニのような虫です。

成虫は5~8mm程度で、肉眼でも分かります。

トコジラミは、第二次世界大戦後の日本において広く蔓延していたのだとか。

しかし適切な駆除と予防対策が功を奏し、東京オリンピックが開催される頃にはほぼいなくなったといわれています。

ところが近年、日本のさまざまな場所でトコジラミによる被害が報告されるようになりました。

被害の拡大を抑えるべく、国や地方自治体は「トコジラミ注意」の周知を広く行っています。

参考:トコジラミ|公益社団法人 東京都ペストコントロール協会

参考:トコジラミQ&A|公益社団法人 日本ペストコントロール協会

▼トコジラミが増えた原因

トコジラミによる被害は、主に海外で深刻化しています。

例えばフランスでは10世帯に1世帯以上がトコジラミの被害を受けていたといわれており、家庭から公共施設まであらゆるところでトコジラミが発見されました。

トコジラミが繁殖した際に、休校措置を取って駆除する学校も多いそうです。

フランスのほかにはアメリカや韓国でもトコジラミ被害が増えており、社会的な問題となっています。

トコジラミが爆発的に広がった原因の一つとして有力なのが、人流の活性化です。

海外旅行が身近になった昨今、多くの人が国をまたいで移動します。

移動する人にトコジラミがくっつき、世界中にばらまかれたというわけです。

インバウンドによって海外からの観光客が増えている日本でも、トコジラミ問題は他人事ではありません。

事実、SNSではさまざまな人がさまざまな場所で「トコジラミ発見!」と画像や呟きを掲載しています。

参考:五輪控えたパリを襲う「トコジラミ・パニック」 真のダメージや必要な対策は – BBCニュース

トコジラミの食べ物は「血液」

トコジラミの食べ物は、幼虫から成虫まで「血液」です。

血の通った生き物であれば、犬・猫や鳥、人間まで、あらゆる生物が栄養源となります。

空腹時は平たく丸いトコジラミですが、吸血すると体が丸く膨らむのが特徴です。

人間がトコジラミに吸血されても、痛みを感じることはありません。

ただし吸血時にトコジラミの唾液が注入されるため、皮膚がかゆくなったりブツブツができたりといったアレルギー反応が起こります。

かゆみの感じ方は人によりますが、「かゆみの程度は強い」とするのが一般的です。

あまりのかゆさに眠れなくなる人もいるそうなので、ひどいときは早めに皮膚科を受診しましょう。

またトコジラミにかまれるという体験は、なかなかにショッキングなものです。

1度かまれると「寝ているときにまた吸血されたらどうしよう」という不安が大きくなり、不眠症や神経障害を引き起こす人もいるそうです。

参考:トコジラミの相談が増えています|東京都北区

繁殖力がすごい

トコジラミのメスが卵を産むと、2週間程度で幼虫に・1~2カ月で成虫になります。

成虫になってからの寿命は3~4カ月ほどですが、メスは生涯で200~500もの卵を産むのだとか。

トコジラミ1匹の寿命は短くても、繁殖力は爆発的です。

参考:トコジラミQ&A|公益社団法人 日本ペストコントロール協会

家の中にいるかも?トコジラミの見つけ方

トコジラミは夜行性なので、日中は暗い場所に隠れています。

トコジラミが隠れやすいスポットをチェックしてみましょう。

▼トコジラミが潜みやすい場所

  • カーテン
  • 畳やソファーのすき間
  • 家具の裏側や壁とのすき間
  • コンセントの内部
  • じゅうたんの裏側
  • 押し入れ
  • ベッド回り
  • マットレスの裏側
  • 衣類
  • バッグ類
  • 電化製品 など

直射日光が当たらない狭い場所なら、基本的にどこでもトコジラミがいる可能性があります。

中でも寝室はトコジラミが潜伏している確率が高いため、しっかりとチェックすることが必要です。

おすすめは、夜間に20分程度照明を消してから寝具周辺をチェックすること。

トコジラミは夜行性なので、明るい場所には出てきません。

いったん暗くして待つと、隠れていたトコジラミが出てくる可能性があります。

参考:衛生害虫トコジラミに対する対策について|厚生労働省

血糞や卵があったら「トコジラミがいる」と考えよう

※画像提供:日本環境衛生センター

血糞とは、トコジラミが排出する黒いシミのような糞です。

吸血が終わったトコジラミの体は大きく膨れ上がっており、狭いすき間を通れません。

元のすみかに戻るため、トコジラミは体内の水分を糞として排出するのです。

血糞はゴキブリの糞などとは異なるため、トコジラミを見分ける大きな手掛かりとなります。

このほか、卵や抜け殻が見つかった場合も、トコジラミがいると考えて間違いありません。

なるべく早急な駆除が必要です。

参考:トコジラミについて – 愛知県

トコジラミ発見!まずすべきことは?

トコジラミは繁殖力が強いため、なるべく早い段階で駆除することが必要です。

トコジラミが見つかった場合、すべきことをご紹介します。

家庭での駆除は慎重に

トコジラミは熱に弱いため、衣類に付着したものは高温で洗ったり乾燥機にかけたりすることで駆除することが可能です。

また動いているトコジラミや卵を見つけた場合は、素手で潰すのは避けましょう。

ガムテープなどに付着させ、そっと取り除いてください。

掃除機で吸い取るのも有効ですが、吸い込んだゴミを放置せず、密閉させてすぐに捨てることが必須です。

なお殺虫剤は、プロポクスルまたはメトキサジアゾンは有効とされます。

ただし、近年増えている「ネッタイトコジラミ」には、最も一般的なピレスロイド系殺虫剤が効きにくいそうです。

また燻煙タイプの殺虫剤は、トコジラミを移動させるだけ。

駆除するどころか、被害エリアが拡大する恐れがあります。

燻煙で全滅させよう……などとは考えない方がよいかもしれません。

殺虫剤を購入する際は販売店でトコジラミに効くかどうか確認しましょう。

参考:トコジラミ対策(予防の基本と駆除方法)|板橋区公式ホームページ

完全駆除ならプロの駆除サービスがおすすめ

実際のところ、家庭でできるトコジラミ駆除には限界があります。

被害が甚大になる前に、プロの駆除業者に依頼しましょう。

プロに依頼すると、吸引や冷却・最先端技術でトコジラミを駆除してくれます。

料金はかかりますが、結果的には良かったと思えるはずです。

近年のトコジラミ被害拡大を受け、さまざまな清掃業者がトコジラミ駆除サービスを提供しています。

例えばお掃除サービス「ダスキン」の場合、30日の保証付きで料金は176,000円(税込)です。

参考:トコジラミ駆除サービス | トコジラミ | お掃除サービスのダスキン

トコジラミを防ぐ!対策のポイントと注意点

トコジラミは、気温25度、湿度60%以上の環境を好むといわれています。

梅雨に向かうこれからの季節、トコジラミの繁殖には注意が必要です。

トコジラミを防ぐため、家庭でできることをご紹介します。

参考:発見が難しい!?トコジラミの種類・生態について解説 | 害虫獣駆除サービス | お掃除サービスのダスキン

掃除・不用品の廃棄を徹底する

トコジラミが繁殖しないよう、家のすみずみまで掃除を徹底しましょう。

寝室やすき間部分は特に念入りに掃除し、繁殖を防ぐことが必要です。

また不要品をため込むと、トコジラミが隠れやすくなります。

段ボールや不要な家具・雑誌類などは、速やかに廃棄してください。

外から「持ち込まない」対策をする

トコジラミは、衣類や荷物に付着して家の中に入ってきます。

外から持ち込む物についても、厳重なチェックが必要です。

特に外泊した場合、宿泊施設からトコジラミをもらっているかもしれません。

バッグ・ケースはきれいに拭き、衣類は速やかに洗濯しましょう。

厚生労働省でも宿泊施設のベッドやクローゼットなどをしっかり確認し、バッグの置き場所や衣服の持ち帰り方などを呼びかけています。

またフリマアプリなどで衣類や物品を購入するときも、トコジラミチェックが必須です。

衣類を購入した場合はすぐに洗濯したり、高温のスチームアイロンを掛けたりなどを徹底してください。

電化製品や小物類は細部までしっかりチェックして、トコジラミの痕跡がないことを確認しましょう。

参考:衛生害虫トコジラミに対する対策について|厚生労働省

「自分でも処理できるだろう」と甘く見ない

トコジラミを見つけたときは、すでに被害が拡大していることがほとんど。

「完全な駆除は難しい」と考えて、対策を練ることが必要です。

トコジラミが拡大する背景には、「殺虫剤などでどうにかなるだろう」という思い込みがあるといわれています。

もちろん、殺虫剤で対応できる場合もありますが、トコジラミがいると分かった場合は、ひとまず専門業者に被害状況・被害の程度を確認してもらうのがおすすめです。

まとめ

トコジラミは外から入ってくるため、普段きれいにしているご家庭でも油断はできません。 トコジラミ対策を徹底し、家の中に入れないようにしましょう。 またすでにトコジラミの痕跡がある場合は、専門業者に相談することが大切です。 トコジラミは、配管や配線・天井裏などからあちこちの部屋に広がります。目に見えるところだけ対処しても、根本的な駆除にはつながりません。 「かゆくて寝られない」「トコジラミが出てきそうでこわい」……という事態を招かないよう、プロの力を借りてトコジラミを徹底的に駆除しましょう。 文/カワサキカオリ

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