全仏テニス、客席での飲酒を禁止 ファンの目に余る行為防ぐと

パリで開催中のテニスの全仏オープンで、観客席での飲酒が禁止された。ファンたちの目に余る行為を防ぐためだと、大会ディレクターは説明している。

今年の大会では、先月28日の男子シングルス1回戦でダヴィド・ゴファン選手(ベルギー)が、地元フランスのジョヴァンニ・ムペツイ・ペリカール選手と試合中、観客からガムを吐きつけられた。ゴファン選手はフルセットの末、ペリカール選手に競り勝った。

翌29日には、女子シングルス2回戦で3連覇を目指すイガ・シフィオンテク選手(ポーランド)が大坂なおみ選手に辛勝。試合後のコートでのインタビューではファンらに向かい、プレー中は静かにし、大声を出さないよう訴えかけた。

こうした事態に、全仏の大会ディレクターで、女子世界ランキング元1位のアメリ・モレスモ氏は、「まず何より、人々がテニス観戦に熱中し、試合の一部になり、気持ちや感情をあらわにすることをうれしく思っている」と表明。

「しかし、これ以上は進んではならないというステップが明確にある。いくつかの対策を取る必要があった」とした。

そして、「これまでスタンドでのアルコールは認めてきたが、それは終わりだ」と述べた。

観客席での飲酒は禁止されるが、通路や会場周辺では引き続き飲酒できる。

モレスモ氏によると、試合中は主審がより厳しく、「選手と試合に」敬意を払うよう観客に求めるという。

セキュリティー対策も強化された。違反者は特定され、静かにするよう警告を受ける。

モレスモ氏は、「これら2点での違反は決して許容されない」、「私は楽観主義者であり、人々は良い反応を示すと思っている。そうでない場合は、さらなる対策を講じる」と述べた。

選手たちの反応

ゴファン選手はモレスモ氏の介入を歓迎。事態がエスカレートするのを止められるとの考えを示した。

「(ファンたちは)今年は大丈夫だった、来年はもっとやろう、再来年はさらにやってやろう――と思うかもしれない。そのうち爆竹を持って来るかもしれない」

男子シングルスで連覇を狙うノヴァク・ジョコヴィッチ選手(セルビア)は、「一線」を越えない限り、選手らは「いい雰囲気」を望んいると思うと発言。

「先日のゴファンのように選手が反応するのは理解できる。私もそうした状況を何度か経験したことがあるからだ」、「敬意を払わず、やじを浴びせる人たちに抗議する選手を支持する」と付け加えた。

女子のパウラ・バドサ選手(スペイン)は、シフィオンテク選手の訴えについて質問されると、第1シードの同選手に「文句を言う」もっともな理由はないとの考えを示した。

「私は8番と9番コートでプレーしたが、すべて聞こえる。スザンヌ・ランラン(主要コートの一つ)、フィリップ・シャトリエ(センターコート)、6番や7番コートの音が、ポイント中に聞こえてくる」

「彼女はいつもフィリップ・シャトリエでプレーできて、とても幸運だと思う」

(英語記事 French Open brings in alcohol ban to stop unruly fans

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