ミシェル・ンデゲオチェロ、「怒れる黒人作家」ジェイムズ・ボールドウィンに捧げるニュー・アルバムを発表

2月に来日公演を行なったミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)が、ニュー・アルバム『ノー・モア・ウォーター:ゴスペル・オブ・ジェイムズ・ボールドウィン』を8月2日(金)に発表します。『山にのぼりて告げよ』『次は火だ』などの著作で知られる「怒れる黒人作家」で、今年8月2日に生誕100周年を迎えるジェイムズ・ボールドウィンに捧げられたこのアルバムから、「トラヴェル」と「レイズ・ザ・ルーフ」の2曲が公開されています。

人種差別や同性愛に関連した社会的・心理的圧力をテーマとし、社会の分断を愛で繋ごうと試みたボールドウィンに捧げる本作には、「オン・ザ・マウンテン」や「アナザー・カントリー」など、彼の著作を想起させるタイトルの楽曲も収録されています。

アルバムの制作は、2016年にニューヨークで行なわれたボールドウィンのトリビュート・イベントから始まりました。『次は火だ』に深い感銘を受けたというミシェルは、「私にとっては啓示のようなもので、いろいろな意味で心が和らぎました。とくに最初の章では、まるで私の家族のことが書かれているようでした。“私は、軟弱だと思われたくない黒人男性に囲まれて育ちました”というのは、彼が『甥への手紙』(A Letter to My Nephew)の中で記しているものです」と語り、アメリカの人種・階級闘争の困難な歴史について、そしてそれがミシェルや自身の家族に及ぼした影響について、深く理解できたといいます。アルバム・タイトルにある「ノー・モア・ウォーター」(No More Water)とは、ボールドウィンの著作や黒人霊歌「Mary Don’t You Weep」の歌詞、そしてさらに遡ると旧約聖書の『創世記』の「ノアの箱舟」の章で登場するフレーズであり、それらからの引用です。

プロデュースはミシェル自身と、ギタリストのクリス・ブルース。参加ミュージシャンにはジュリアス・ロドリゲスやジョシュ・ジョンソン、エイブ・ラウンズ、ジャスティン・ヒックスなど気鋭の若手が名を連ねており、さらにはロバート・グラスパーやタナ・アレクサなどの作品にもフィーチャーされているジャマイカの詩人のステイシーアン・チン、そしてピュリツァー賞も受賞した作家のヒルトン・アルスがリーディングで参加。アルスはアルバムのライナーノーツも執筆しています。

Photo by Andre Wagner

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