サッカー・ドイツ代表に「白人選手の増加を望むか」と公共放送がアンケート 「人種差別的」と監督が非難

サッカーのドイツ代表監督ユリアン・ナーゲルスマン氏(36)は2日、独公共放送ARDが最近、「代表チームにもっと白人選手が起用されることを望むか」などと問うアンケートを実施したことについて、「人種差別的」だと非難した。

ARDの世論調査では、回答者の21%がこの質問に対し「望む」と答えたという。

ナーゲルスマン監督は、「これは人種差別的だ。私たちは目を覚ますべきだと思う。欧州では安全な国を求めて逃れなければならなかった人が大勢いるというのに」と語った。

このアンケートをめぐっては、ドイツ代表のミッドフィールダー、ヨシュア・キミッヒ選手が1日に「人種差別的」だと評していた。ナーゲルスマン氏は同選手と同じ考えだとした。

「ヨシュアは実に良い反応を示し、非常に明確かつ思慮深い発言をしてくれた」と、ナーゲルスマン氏はチームの練習拠点での記者会見で語った。

「私もまったく同じように考えている。この質問は正気とは思えない」

「欧州には戦争や経済的な要因、環境災害のために逃げ出さなければならない人々がいる」

「聞かなければいけないのは、今この瞬間に我々は何をやっているのかということではないのか? ドイツにいる私たちはとてもとても豊かに暮らしている。今回のようなことを口にして、見て見ぬふりをし、そのようなことを単純に遮断しまうなんてどうかしていると思う」

ARDは、サッカーと多様性に関するドキュメンタリーを制作していた記者が、代表チームの構成について度々質問を受けたため、測定可能なデータを得るために調査を依頼したと説明している。

世論調査は無作為に選ばれた1304人を対象に実施された。

調査を依頼したARDのスポーツディレクター、カール・ヴァルクス氏は、「このような結果になったことにがっかりしているが、これは今日のドイツの社会状況を表しているものでもある」と述べた。

「スポーツはこの社会で重要な役割を果たしており、代表チームは融合を示す強力な一例だ」とヴァルクス氏は述べたと、独メディアは伝えた。

現在の代表チームは、キャプテンのイルカイ・ギュンドアン選手やレロイ・サネ選手など、複数のルーツを持つ数多くの選手で構成されている。

ドイツは今月半ばに開幕する2024年欧州選手権(ユーロ2024)の開催国。ナーゲルスマン監督は、独代表は「この国のすべての人のために」プレーすると述べた。開幕戦となるドイツ対スコットランド戦は6月14日、ミュンヘンのアリアンツ・アレーナで行われる。

今回の問題が浮上する数週間前には、代表チームのユニフォームを手掛けるアディダスが発表した新モデルの背番号「44」が、「SS」に似ているとの指摘があったばかり。「SS」はナチス親衛隊シュッツシュタッフェルの略号。

「SS」はナチスの人道に対する犯罪の多くの責任を負っていた。「SS」のメンバーは秘密警察ゲシュタポの捜査官から強制収容所の看守まで多岐にわたる。任務には何百人ものユダヤ人やそのほかの人々が処刑された収容所の管理も含まれていた。

(英語記事 German football coach condemns 'racist' TV survey

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