うちからほとばしる情熱 情熱を発散するように肉体を鍛錬 「フィリップ」本編映像

2024年6月21日より劇場公開される、ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドの実体験に基づく自伝的小説の映画化作「フィリップ」から、うちからほとばしる情熱を持て余すフィリップが、その熱を発散するかのように肉体を鍛錬するシーンの、本編映像が公開された。

ユダヤ人であることを隠し、ホテルのウェイターとして働くフィリップ。同じくユダヤ人であることを隠しながら同居する友人は、「食うのに困ってもいないのに何が不満なんだ」「ここはアウシュビッツよりましだ」とフィリップをたしなめるが、その言葉はフィリップには届かない。そして、肉体を鍛え上げるフィリップの姿が映し出される。たくましい美青年フィリップを演じるため、ダンスやボクシングを学びながら体重を1年かけて10キロも増やし、見事に鍛えあげたエリック・クルム・ジュニアの肉体美が見られる映像となっている。

恋人や家族をナチスによる理不尽な暴力で失い、孤独を癒やすために手段を選ばないフィリップの人物像について、ミハウ・クフィェチンスキ監督は、「彼の冷酷でシニカルで反社会な行動が人の嫌悪感を呼ぶように見えるかもしれません。しかしそれはすべて壊れやすく繊細な性格を隠すための仮面です」「フィリップは自分の内なる悪魔を克服するために、他の方法で行動することはできません。現代だったらフィリップはおそらく心理療法士の下に通い詰めているでしょう」と分析している。

「フィリップ」の主人公は、ポーランド系ユダヤ人のフィリップ。1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすフィリップは、ナチスによる銃撃によって、恋人のサラや家族、親戚を目の前で殺されてしまう。2年後、フィリップはフランクフルトにある高級ホテルのレストランでウェイターとして働いていた。自身をフランス人と偽り、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス将校の妻たちを次々と誘惑することで、ナチスへの復讐を果たしていたフィリップは、やがて知的な美しいドイツ人のリザと出会い、愛し合うようになる。だが、戦争は二人を引き裂いていく。

レオポルド・ティルマンドによる原作は、ポーランド当局の検閲により大幅に削除されたものが1961年に出版されたが、発刊後すぐに発禁処分となり、2022年にオリジナル版が出版された。監督は、1990年代よりテレビプロデューサー兼演出家としてキャリアを重ねたミハウ・クフィェチンスキ。21世紀以降はポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督作品のプロデューサーとして、「カティンの森」「ワレサ 連帯の男」「残像」の製作を務めた。

【作品情報】
フィリップ
2024年6月21日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
配給:彩プロ
(C)TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022

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