多民族の高齢者が入居、「田園式」生活が楽しめる施設 中国甘粛省

多民族の高齢者が入居、「田園式」生活が楽しめる施設 中国甘粛省

活動室でビリヤードをする高齢者。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

 【新華社蘭州6月4日】中国甘粛省武威市天祝チベット族自治県にある岔口駅敬老院(老人ホーム)では現在、扶養親族のいない特別困窮高齢者170人以上が暮らしている。

 祁連山脈東端に位置する同県は、中国初の少数民族自治県で、漢族、チベット族、トゥ族、回族、モンゴル族など多くの民族の人々が暮らしており、同院の入居高齢者の半数近くは少数民族が占める。

 チベット族の王金蓮(おう・きんれん)さん(76)は、夫が亡くなった後に同院に入居し、16年間暮らしている。

多民族の高齢者が入居、「田園式」生活が楽しめる施設 中国甘粛省

高齢者の健康状態を検査する衛生院(診療所)の職員。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

 王さんは活動室のビリヤード台で、キューを手に球を突きながら「居住費、食費が無料で、食事、洗濯の世話をしてくれる人がおり、毎月養老年金や小遣いももらえる」と話した。同院に入居後、運動は王さんの老後生活の新たな日常となった。

 同院には医療スタッフが配置され、高齢者の日常的な健康管理を担当している。職員は、身体的な健康状態に気を配る以外に、高齢者の精神生活に彩りを添えるための努力もしている。

 同院の職員は、庭の空き地を整備し、畑を耕し、ハダカムギ、小麦、アブラナ、ジャガイモを植え、家畜小屋も建てて牛や羊を飼育している。

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屋外で涼みながらトランプを楽しむ高齢者。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

 入居者は普段、自分のペースでできる範囲の農作業を行い、報酬を得ると同時に、労働と分かち合いの中に楽しみを見いだしている。間もなく、栽培した農作物は同院の食卓に並ぶことになる。

 賈明学(か・めいがく)さん(78)は「畑仕事に何十年も携わってきたので、この程度の労働は問題なく、畑に出て作業できるのはとても良い」と話す、このところ毎日午後に、仲間数人と畑でアブラナを植えているという。

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アブラナの苗を植える高齢者。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

 同院に12年務める王進宝(おう・しんぽう)院長は、高齢者が労働を通じて達成感を取り戻していく姿を見て深い満足を感じ、こうした適度な院内での経済活動は、同院の経済的負担を軽減するだけでなく、体が丈夫な農村の高齢者に活躍の場を提供し、高齢者が生活能力を維持でき、より質の高い老後の生活を楽しめると考えている。

 同県は現在、県、郷、村の3レベルを網羅する高齢者介護サービス体系を構築、食事サービス、レクリエーション、医療・看護が高齢者の「身近にあるもの」となり、農牧地域の高齢者500人近くが24時間ケアを受けられるようになっている。

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高齢者の衣類を洗濯する職員。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

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院内を散歩する高齢者。(5月21日撮影、蘭州=新華社記者/張文静)

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