意欲作に復興の願い 現代工芸美術展石川展が開幕

能登半島地震からの復興を願う作品を鑑賞する開場式出席者=4日午前9時50分、金沢21世紀美術館

 第62回日本現代工芸美術展石川展(現代工芸美術家協会、同石川会、北國新聞社主催)は4日、金沢21世紀美術館で開幕した。日展の工芸美術部門を彩る重鎮から若手が、能登半島地震の復興への願いを込めて制作した意欲作99点が展示された。

 4月に東京で開かれた本展の巡回展となる。本会員賞に選ばれた小谷内和央さん(七尾市)の陶磁「蒼春(そうしゅん)Ⅱ」は、地震の被害を受けた中で制作を続け、空をイメージした鮮やかな青の色彩に春の訪れを待つ心を重ねた。

 初出品で一般の最高賞・現代工芸大賞に輝いた久保芳美さん(金沢市)の「あぜの蛍」は、ぬくもりあふれる和紙の質感で、輪島市の国名勝「白米(しろよね)千枚田」を表現した。同じく初出品で一般の現代工芸賞を受けた横山幸希さん(同)が加賀繍(ぬい)の技法を用いた刺しゅう「五侯(ごこう)」もモダンなデザインで注目を集めた。

 開場式で石川会会長の砂塚隆広北國新聞社社長があいさつし、竹沢淳一石川県文化観光スポーツ部長と津田宏金沢市文化スポーツ局長がそれぞれ知事と市長の祝辞を代読した。

 第38回石川の現代工芸展とチャリティー小品展も併催されている。入場料は500円で、高校生以下は無料。いずれも9日まで。

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