斑尾・妙高を一大リゾートに 最大700億円規模 シンガポールの不動産投資ファンドの代表「ここしかない」 地元は期待と心配

ペイシャンス・キャピタル・グループ・ケン・チャン代表

特集は注目のリゾート開発です。妙高・斑尾高原一帯のスキー場やホテル跡地を取得したシンガポールの不動産投資ファンドの代表が5月9日、講演しました。語られたのは「上質なマウンテンリゾート」を目指すという開発構想。自治体や住民はどう受け止めているのでしょうか。

■上質なリゾートをつくる

妙高・斑尾高原一帯

斑尾高原に野尻湖、それに新潟県の妙高を含むエリアを、一大リゾートにする構想が浮上しています。

ペイシャンス・キャピタル・グループ・ケン・チャン代表:
「雪の質、雪の量、そして雪山の高さ、非常に魅力的なコンテンツがたくさんあり、ここしかないなって」

開発構想を描いているのはシンガポールの不動産投資ファンド「ペイシャンス・キャピタル・グループ」。先週、ケン・チャン代表が飯山市で講演会を開きました。

ペイシャンス・キャピタル・グループ・ケン・チャン代表:
「高級リゾートをつくっていくんじゃないのという質問もありますが、われわれの定義は『上質なリゾートをつくる』という考え。この信越地域でマウンテンリゾート、スキー場じゃなくてマウンテンリゾート開発に挑んでいこうかなと」

■投資額の見込みは最大700億円規模

妙高山

グループはこれまでに、斑尾高原スキー場や妙高杉ノ原スキー場を傘下に収めています。

また、斑尾高原にあるホテルと、野尻湖畔のホテル跡地も取得。

3つのエリアで取得した土地は、約350ヘクタールにのぼり、開発を含めた足元の投資額の見込みは最大700億円規模です。

国内客を優先しつつインバウンド客も含め年間通じた「滞在型」のマウンテンリゾートを目指すとしています。

■地元自治体「期待しかない」

左:信濃町・鈴木文雄町長 右:妙高市・城戸陽二市長

講演会では関係する飯山市、信濃町、妙高市の市長・町長も登壇しました。

飯山市・江沢岸生市長:
「基本的に大歓迎」

妙高市・城戸陽二市長:
「期待というか、期待しかないというか」

信濃町・鈴木文雄町長:
「地元の経済・産業に対して大きなインパクトを与えてもらえる」

自治体の期待度は大きいようです。

飯山市・江沢岸生市長

一方、代表は交通インフラの整備など、開発には行政の協力が不可欠だとしています。

ケン・チャン代表:
「地元の行政、住民に協力していただかないと成功しない。交通手段のところも一緒にプランニングできたら」

飯山市・江沢岸生市長:
「飯山駅の利活用については具体的な構想、要望を聞いて、飯山市だけでなく関連自治体や観光関係者で力を合わせて協力する方向で考えたい」

■地元「外部の力を借りるしかない」

野尻レイクサイドホテル跡地

(記者リポート)
「動き始めた再開発計画。地元ではどう受け止められているのでしょうか」

水上アクテビティや釣りが盛んな野尻湖。湖畔のホテル跡地が開発の対象となっています。

地元住民:
「だいぶ期待はされているのでは。地元の人だけでは限界だよね。斑尾・妙高・黒姫は落ち目だから。これから先ということになると、外部の力を借りるしかない」

斑尾高原の飲食店など

斑尾高原は、スキー場とホテルが計画の対象です。

かつては、ジャズフェスティバルで2万人以上を動員するなどにぎやかな時期もありましたが、近年はスキー人口の減少やコロナ禍の打撃を受け、厳しい状況が続いています。

ペンション経営:
「不安はありません、むしろ歓迎してます。われわれのリゾートのオーナーシップは何度も変わりましたけど、自治体との連携も視野に入れていて非常に素晴らしいアプローチ」

斑尾高原でペンションを経営:
「不安というのは特に。今が不安のどん底みたいなもんですから、これから何かやりますよという期待をもたせるような話だった」

■物価や地価の高騰を心配する声も

野尻湖

一方、多くの人が集まることで治安の悪化や騒音を心配する声があります。

また、外国人客が集中する北海道のニセコのような、物価や地価の高騰を心配する向きもあります。

妙高市長もー。

妙高市・城戸市長:
「国内でリゾートと言われるとニセコの話題が大きく、負の部分が大きく不安になっているところがある。できるだけ早くオープンしていただくことが不安を取り除く第一歩」

■次世代、次々世代のために

妙高・斑尾高原一帯

6歳まで日本で暮らし、長く政府系ファンドの日本支社代表を務めるなど、国内の状況をよく知るケン・チャン代表。講演の最後、次のように理解と協力を求めました。

ケン・チャン代表:
「地方創生をやっていきたいという強い思い。次世代、次々世代のために何とかしておかないと、このままさびれてしまう。誇りを持てるような、海外の人も来た時に、『いい所だろう』と言えるようにやっていきたい。ご協力お願いします」

具体的な開発の内容はこれから。

グループは今後10年ほどを3段階に分けて開発を進めるとしています。

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