来月に“さよなら運転” 上信電鉄の機関車「デキを愛する会」 群馬・下仁田町

ミニデキを囲み、29年間の歩みを振り返る会員ら

 上信電鉄のデキⅠ型電気機関車のファンでつくる「デキを愛する会」(横尾俊一会長)が7月20日、群馬県下仁田町で開かれる同社主催のイベントを最後に解散する。「上州のシーラカンス」として親しまれる国内最古級の電気機関車をPRし、沿線の振興につなげてきたが、設立から29年で会員の高齢化は顕著に。7月の“さよなら運転”を控え「大勢の人に足を運んでもらい、にぎやかな最後にしたい」と意気込んでいる。

 同会は同社の貨物部門廃止により、現役引退した3台のデキのうち、1995年に2号機が富岡市に寄贈されたのを機に発足した。以来、同市のもみじ平総合公園に飾られた車体を毎年清掃したり、8分の1スケールの「ミニデキ」を県内外のイベントで走らせたりと精力的に活動してきた。

 99年からは人気漫画家の故松本零士さんが描き下ろしたイラストをヘッドマークにしたデキが客車をけん引するイベントを企画。松本さんとの交流はその後も続き、2008年には代表作「銀河鉄道999」のイラストを内外に施したラッピング列車の運行が実現した。

 初代会長を務めた大日方康博さん(75)は松本さんが逝去した昨年から徐々に解散を考え始めたと説明。「小さなデキが10両ほどの貨物列車を引っ張って走る姿に幼い頃から勇気をもらっていた。少しでも上信電鉄に恩返ししたかった」と思いを明かし「デキを有名にすることができた。きっぱりと終止符を打ちたい」と胸を張った。

 イベントは旧西牧小(同町西野牧)で開催中の同社企画展「走り続けて130年」に合わせて開催。当日は午前10時~午後3時に校庭でミニデキを走行する。問い合わせは、大日方さん(☎0274-67-2727)へ。

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