知事批判文書で自民が百条委の設置提案へ 斎藤県政に不満噴出 兵庫県議会

兵庫県議会本会議で、元西播磨県民局長の文書問題について「県民の皆さまにご心配をおかけしている」と謝罪した斎藤元彦知事=県公館

 兵庫県の元西播磨県民局長が作成した文書を巡り、県議会の自民党県議団は4日、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置議案を、同日開会した県議会定例会に提出する方針を固めた。3年前の知事選で日本維新の会とともに斎藤元彦知事を推薦した自民だが、一連の対応などで斎藤県政への不満が噴出。ただ、会派内には強硬に設置に反対する議員も複数おり、議案成立の可否は不透明な情勢だ。

 百条委は地方自治法第100条に基づく特別委員会で、自治体の事務を巡る疑惑や不祥事について事実関係を調べる。強い調査権限があり、首長や議員ら関係者の出頭や証言などを求めることができる。兵庫県議会では51年前の1973年7月に開かれたのが最後という。

 元県民局長を巡っては、斎藤知事や県幹部らの言動を「違法行為」と主張する匿名文書を作成、配布していたことが3月下旬に発覚。斎藤知事は文書内容を「うそ八百」と批判し、元県民局長の退職を取り消した。

 その後、県人事課による内部調査で停職3カ月の懲戒処分としたが、県議会などから「人事課の調査は客観性に欠く」との批判が上がり、斎藤知事は第三者機関による再調査を決めた。

 一方、自民会派(議長を除き35人)は、4日の議会運営委員会で第4勢力のひょうご県民連合(9人)が百条委設置の議案を提出する意向を表明したのを受け、議員団総会を開催。会派として議案を出す方針が決まったという。

 ただ、議案の採決で全員が賛同するよう会派拘束をかけるかどうかは決まっておらず、維新(21人)と公明(13人)が否定的な立場を示していることから、設置に必要な過半数の43人を超えるかは微妙な情勢だ。採決は定例会最終日の13日になるとみられる。

 斎藤知事は4日の定例会本会議で「県民にご心配をおかけしていることをおわびします」と陳謝。議会内には「百条委の設置は斎藤県政にノーを突き付けるのと同義だ」との見方が強く、議案の行方は来夏の知事選にも大きな影響を与えそうだ。(前川茂之)

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