【『8番のりば』レビュー】前作『8番出口』の画期的なシステムをあえて捨てた勇気に拍手! 話題のインディーゲームをプレイしてみた

2023年に発売し、大きな話題となったインディーゲーム『8番出口 』。その続編となる『 8番のりば 』が、5月31日にリリースされました。

筆者が早速プレイしてみると、ビジュアル的には前作と通じる雰囲気を感じつつも、大きく変化したゲーム性に驚きました。

5月31日、個人でゲーム開発を行うコタケクリエイト(@NOTOKEKE )X(旧Twitter)アカウントは、新作『8番のりば』を Steam でリリースしたと発表しました。

同作は「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」というシンプルなゲーム性が話題になった前作『8番出口』の流れを汲んだ新作です。

多くのYouTuber、VTuberが精力的に配信を行うなど、発売直後から話題になっています。

もちろん、おじさんもいます 『8番のりば』ゲーム内より

なんとゲーム性が大きく変化

実際にプレイしてみると、 まるで本物の電車の中かと思うようなリアル調のグラフィックが続編らしさを感じさせます。

しかし、あの「異変を探して、引き返す」システムは撤廃。今作では「異変を回避し、前に進む」脱出ゲームのようなゲーム性に変化していることに驚きました。

前作のシステムは発明的で、ゲーム性を真似た「8番ライク」と呼ばれるゲームが多く作られるほど。続編も同じゲーム性になると思いこんでいました。

『8番のりば』ゲーム内より
『8番のりば』ゲーム内より

今作では、「異変」それぞれに対処法が存在し、それを発見・回避することで駅の数字が1つずつ増えていきます。

ただ驚かせるだけのものをはじめ、一筋縄ではいかないようなものまでさまざま。ひとたび対処法を誤ってしまうと、演出が入りスタート地点まで逆戻り(さらに恐ろしいことになってしまうことも……)となってしまうところは前作同様です。

その「ゲームオーバー」の演出は怖いのですが……一度は見たいと思わせるようなユニークなものがそろっており、対処法を察することができても、あえて負けてみたいと思ってしまうのがニクいですね。

おなじみの「広告ネタ」も。『8番のりば』ゲーム内より

前作の発明的システムを捨て、より楽しく濃密に

前作では、「何も無いときは前に進む」「異変が起きたら戻る」という二者択一を迫られるため、実際は何も起きていないのに、勘違いで戻ってしまうというのが「あるある」なミスになっていました。

今作では「戻る」ことがないので、一見このゲーム性が失われているように感じさせますが、ランダムに挿入される「異変のない」車両によってこれを再現しています。

いつ来るのかわからない異変に身構える緊張感と、来た時にそれを見逃さない集中力。そして、異変を見つけた時にどうすればよいか考える洞察力が必要で、これは「戻る」ことを無くしたことによって、より研ぎ澄まされていると感じました。

前作の発明的なシステムをあえて捨てる。この勇気によって実現できた「より楽しく、より濃厚な」体験と言えるでしょう。

ボリュームは30分~1時間程度(筆者は44分でクリア)と小粒でしたが、この「もう少し遊びたかった!」というところで終わるのも作者の掌の上という感じすらしますね。

対応機種:PC(Steam)

価格:470円

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