泉丘高生が伝えた震災 1月から学校新聞で特集

これまでに発行した紙面を眺める新聞部員=泉丘高

  ●被災地訪れ「能登を知って」

 泉丘高新聞部が1月以降、能登半島地震を取材して学校新聞で取り上げている。震災後すぐに取材活動を始め、能登で被災した同校の生徒、教員らのインタビューや校内の被害を掲載してきた。大火に見舞われた輪島朝市など現地にも何度も足を運び、部員の目で見た情報を生徒に伝えている。部員たちは「泉丘生に能登のことを知ってほしい」と、県内の高校生の目線から発信を続けている。

 同部ではこれまでに能登半島地震を扱った新聞を4号作っており、1月22日には最初の号となる「速報」を発行した。大見出しで「全員が被災者」と訴え、廊下にひびが入ったり顕微鏡が壊れたりした校内の被害を詳しく報じた。地学教員による解説や、能登で正月を過ごした被災生徒のインタビューも掲載した。

  ●「空気が重かった」

 部員は2月から、谷口豊顧問の運転で能登へ足を運び、これまでの取材は5回に上る。焼失した輪島朝市通り周辺や隆起した海岸、珠洲の見附島などを訪ねて写真を撮り、被災者の声も聞き取った。紙面では部員が実際に被災地を見た様子を「現地の空気は重かった」と伝えている。

 副部長の西つぐみさん(17)は「実際に被災地で取材すると、この話をみんなに伝えなければと感じた」と振り返る。報道の仕方は部員で話し合い、地元の高校だからこそ長期的に向き合っていこうと決めた。10人全員が能登へ入った3年生に加え、1、2年生も含めた部全体が同じ気持ちで活動に取り組む。

 特集の内容は、能登を支援する生徒会の募金活動や、台湾の姉妹校・建國高級中学の生徒に行った、4月に発生した台湾東部沖地震についてのインタビューなど多岐にわたる。

 同部は毎年、7月に最もページ数の多い新聞を発行しており、今年は全16ページ中、8ページを能登や地震関連の特集に充てる。約1500部を発行し、全校生徒や教員などに配布する予定だ。被害や復興の様子、専門家の意見のほか、高校生の活動なども取り上げ、見開き2ページずつで四つの特集を制作する。

 部長の藤井小春さん(18)は「被災地の現状について言葉では聞いていても直接見聞きすると感じ方が全然違う。泉丘生に伝え続けたいという使命感がある」と話した。

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