ぱーてぃーちゃんのツッコミ担当・すがちゃん最高No.1さんが初めて執筆した自伝的エッセイ『中1、一人暮らし、意外とバレない』(ワニブックス)が、好評です。
【画像8枚】初エッセイがAmazonで3冠を達成するなど大好評のすがちゃん最高No.1の撮りおろしショット
Amazonの「タレント本総合」など3ジャンルで1位を獲得しただけではなく、SNSでも「笑って泣けて最高だった」「こんなにディープな体験があったとは」「テレビではチャラいけど、生きざまはカッコいい。感動した」「映像化を希望します」などと熱いコメントが寄せられています。
エッセイは、直人少年(すがちゃん最高No.1)が山形で暮らした日々をリアルに綴ったもの。幼少期に母と死別し、破天荒な父や個性的すぎる祖父母、やさしい叔母と暮らしていた家で、気づけば中学1年で一人暮らしをすることになる顛末が、嘘のようなホントのエピソード満載で紹介されていきます。
一人になっても他人を頼らず、「カッコいい」を追求し、虚勢を張り続けることで生き抜いてきた記録でもある本書。半年かけて執筆したというすがちゃん最高No.1さんに、その舞台裏について聞きました。
<すがちゃん最高No.1 インタビュー>
――『中1、一人暮らし、意外とバレない』の発売から1ヵ月が経ちましたが、売り上げ、評判とも上々のようです。反響をどう感じていますか?
そういった声がちょこちょこ聞こえてきてうれしいんですが、評価はなんとなく、あんまり見ないようにしていたところがあって。
ただ現場でも、次長課長の河本(準一)さんが配信で読んだ感想を言ってくださったり、チョコプラの松尾(駿)さんも、お仕事でしか話したことがなかったんですけど、ご自分で買って読んでくださったそうで、「めっちゃ面白かった。いい家族だな」みたいな感想をいただいたりして。
仕事柄芸人が多くなっちゃうんですけど、そういう声をもらえるのはうれしいですね。
でもそれは、僕がっていうより、半分は親父が主人公みたいなものなので、親父の生き様をみなさんに面白いと感じてもらえているのであれば、よりうれしいです。
――さまざまな反響のなかで、予想外だったのは?
(直人少年が)家事のやり方を友だちの家に行って盗むってところ、あそこが面白いと言われたのは、意外というか、自分的に何一つピンと来なかったです(笑)。
親父の豪快なエピソードとか、ナンパの話とか、派手なところを面白がってもらえるのはなんとなくわかっていたんですけど、家事のところを粒だてられて感想をもらったのには、ビックリでした。
家事や家のルールは、それぞれに常識があって、みんな違うのが普通じゃないですか。今回、本を出すことがなければ、エピソードとして話したり、世に出したりする予定はまったくなかったので、そこは予想外でしたね。
――本を出すことになったのは、田村裕さんの『ホームレス中学生』を手がけた編集者から連絡があり…とのことですが、ふたつ返事でしたか?
縁があって声をかけていただいてありがたいと思いましたが、迷ったのは(本にも登場する叔母の)かっちゃんが、僕が家族の話をすることにそこまで前向きではなかったってことです。
自分としては、今までメディアで話すときはだいぶ制限をかけてしゃべっていたんですけど、本を出すとなれば、僕自身の最大のカッコつけとして、メディアではセーブしていたエピソードもグッと入れ込むことになる。
迷ったけれども、そこを決めて書きました。そしてこれが世に出て、かっちゃんはどう思うんだろうか、怒られるかな、と心配もあったんですけど、かっちゃんから連絡が来て、「読んだよ。最高No.1だね!」と言ってもらえて。
出してよかったな、と思いました。でも、かっちゃん、僕の生活全然、知らなかったらしいです。「あんな、生活してたの?」ってめっちゃ驚いていました(笑)。
――評価はあまり見ていないとのことですが、SNS等にもさまざまな声は届いているのでは?
確かにSNSにも「勇気をもらった」「元気が出た」「泣いたけど笑えた」といったメッセージはたくさんもらいました。
そういうポジティブなマインドは、僕の人生のいわばテーマなんです。嫌なこと、不幸だと思うことのなかには、主観というか、自分次第で変えられる部分もあると思っていて。
僕は山形から上京して専門学校に入ったんですけど、東京って、いろんなところから、いろんな人が集まるじゃないですか。専門学校で仲良くなった人たちも、家庭でいろいろ問題がある人が多くて、お互いに不幸な話なんかを言って、笑い合ったんですよ。
悲しいこと、つらいことも、笑い話に変換すると、過去の自分が救われるというか、なんなら愉快な気持ちにもなれることに気づいて。
みんながそうできるとは思わないですけど、これを読んで笑ってもらってもいいし、自分もこんなことがあったよ、と言えることで、ちょっと心が軽くなった、みたいなのを聞くと、本当にうれしいし、そうそう愉快に生きようぜ、って思います。
「かわいそう」「悲しすぎる」とかって思われないように
――執筆している間、つらくなるようなことはありませんでしたか?
思い出したくない記憶はゼロではなかったですけど、つらくなるようなことはなかったです。書きながら「ああ、あんなこともあったな」とわりと冷静に思い出していく感じでした。
親父のことも「もしかしたら、こういうことだったのかも?」みたいに見えてきたというか。
わりと最低な雰囲気から始まっていますけど、話が進んでいくうちに、「なんか違う。最低なんじゃない。親父は親父でカッコつけてたんだ」って。そこを軸に、書き直しもしていきました。
親父はもういないので、僕の予想でしかないけど、そうだったんじゃないかって思うことが結構あって、今までゼロだったのが、結果、38%くらいは理解できた気がします(笑)。
――書くうえで心がけたことはありますか?
一番は、「かわいそう」とか「悲しすぎる」とかって思われないようにってことですかね。エピソードをしゃべっていても、たまにそういう空気になることがあったんで。
文字になるとテンポや抑揚がつけにくいので、明るく伝えたい場合もそうならないこともあって。そこはめちゃくちゃ気を付けました。
――その塩梅は難しそうです。
そこは、ツッコミの感覚がいきたかな。感情があるところはより意識しました。
――執筆期間は半年だったそうですが、何かエピソードはありますか?
作業にもパンパンにカッコつけが入っていて。あえて、人の多い喫茶店やカフェに行って書いていました(笑)。横並びのカウンターテーブルで、会社員ふうの人が書類をまとめている、学生さんが勉強をしている隣で書くという。
本当はノートパソコンでカチャカチャと書いていたら、カッコよかったんでしょうけど、僕は原稿用紙のような紙のほうが相性がよかったので、手書きでやって、あとは携帯で打ったりもしました。
カフェでは両サイドにいる人を意識して、ちょっと中身が見えるようにしたりして。俺、本書いてます、みたいにできるのが一番よかったです(笑)。
あとは、又吉(直樹)さんをマネして恵比寿の個室のバーでウィスキーをゆっくり飲みながら書こうとしたことも。カッコよかったんですけど、いざ書こうと思ったら、暗くて見えなかった。
居酒屋さんも失敗パターンですね。シンプルにうるさいですし、あとはお酒飲んじゃう。飲みすぎちゃって、家に帰りたくなっちゃうのでダメでした。
父から聞いた「直人」の由来に衝撃を受けた
――気が早いかもしれませんが、次作のオファーが来たらどうしますか?
2冊目ね。考えたことはなかったですけど、欲してくれる方がいるのであれば、ゼロではないのかなって感じですね。
――ぱーてぃーちゃんの信子さん、金子きょんちぃさんも本書に登場し、お父さんとの交流も描かれていますが、二人は本書を読んでいますか?
この本を出す前に(3人での)囲み取材があったんですけど、その取材の15分前にギリギリ読み終わっていました。二人とも「めっちゃ面白い」とか「普通に泣いた」とか言ってくれました。あそこのページのあのエピソードがよかったとか、細かく読んでくれていて驚きましたね。
そういう意味では、きょんちぃでも読めるものを書くっていうのがテーマでしたし、きょんちぃが読み切れたのだから、誰でも読めるんじゃないかと思います。
そういえば、きょんちぃに「始まり方、鬼滅じゃん?」って言われたんですけど、マジで意味わかんなかったです。どこを読んでそう思ったのか、わかんないですけど、全然違います(笑)。
――改めてお父さんへの思いを聞かせてください。
派手さとか豪快さが目立つんですけど、結局、人に対して愛が強かった人かなと思います。僕、本名が「直人」っていうんですけど、小学校のときに名前の由来を聞くことがあって、親父が「真っ直(す)ぐ生きる人になるんだよ」と教えてくれたのが、すごく衝撃だったというか、自分に刺さって。
でもきっと、直人と名付けた本人も、そういう生き方をしなきゃなって思ったと思うんですよ。
死に際まで、嘘つきながら、カッコつけながらでしたけど、親父も真っ直ぐ生きた人だったと思います。俺も、この名前でよかったし、このカッコつけの性格でよかったと思っています。
――グレたり、人の道を外れたりするようなことがなかったのは、「真っ直ぐに」という思いがあったからなのでしょうか?
そうかもしれないですし、やっぱり、そういうふうになってるんですよね。子どものころからそう感じてるんですけど、ズルしようとすると、絶対にうまくいかないんですよ。
――今後の夢や野望があれば聞かせてください。
僕、すごく人に興味があるんですよ。「ほめ達!検定」というのを持ってるくらい、人のいいところや素敵なところを見つけて、ほめたり、考察したりするのが好きなんです。いろいろな生い立ちや環境で育った人と、探り合うのではなく、楽しくしゃべり合うことで、人と人とが惚れ合う、考え合うみたいなことができればいいなと思っていて。
それを形にするなら、対談企画みたいなことでしょうか。それこそ、田村裕さんとも話してみたい。結果、二人とも芸人になっているので、芸人になるくらいのバイタリティがあったからこそ、現実を乗り越えられて、変な方向にいかなかったのか、とか答え合わせもしてみたいです。
そこに途中からギャル(信子さん、きょんちぃさん)が入ってくるというのも、塩梅としていいかもしれない。あの二人には、人のことを深く考えるとか、まったくそういうのがないので、どうなるのか…。
――田村さんといえば、多額の印税が入ったことでも話題になりましたが、印税がガッポリ入ったらどうしますか?
そうなったら、親父のおかげなんで、まだ墓を建ててあげられていないので、最高の供養ができたらいいな、と思ってます。それでも残ったら、かっちゃんに恩返しでも。これまで何にもやってこれてないので、孝行できればいいですね。