意識不明…小1女児、車にはねられる ほかの児童、車に気付いて「車が来ているよ」…直後に女児が巻き込まれる 先の信号を見て運転していた男逮捕「赤信号、直前で気付いた」

下校の列に車突っ込む、女子児童が重体=熊谷市

 4日午後2時40分ごろ、埼玉県熊谷市成沢にある市道交差点の横断歩道で、同市立江南北小学校1年生の女子児童が軽貨物車と衝突。目撃者の男性が「車と歩行者の事故」と119番した。女子児童は頭部を負傷し、救急搬送され、意識不明の重体だという。

 熊谷署は、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、軽貨物車を運転していた同市石原、無職の男(84)を現行犯逮捕した。「子どもとぶつかってしまったことは間違いない」と容疑を認めているという。

 男は事故現場から南西に約500メートル離れたごみ処理場からの帰りで、取り調べに対して「信号が赤だったのは分かっていた。直前で気付いた」などと供述しているという。捜査関係者によると、「先の信号を見ていて、現場の信号を見ていなかった」という主旨の話をしているという。

■児童「いつも見てくれる人、今日はいなかった」

 事故現場は、見通しの良い片側1車線の直線道路上で、横断歩道を挟み学童クラブや駐在所と向かい合う小学校のフェンスには「とびださない」などの交通スローガンが掲示されている。事故直後、付近には子どもサイズのピンクの靴が片方落ちていた。

 事故に遭った女子児童と共に歩いていた女子児童は「先頭にいた子が押しボタンを押した」と話し、渡ろうとした際、「他の子が『車が来ているよ』と言ったが、(はねられた児童は)気付かず止まらなくてひかれた」とうつむいた。迎えに来た母親(29)は「今日は子どもの話を聞いて、精神的にケアしたい」と家路に就いた。

 女子児童と同じ通学班の1年生男子児童を学童クラブに迎えに来た30代の母親は、「(女子児童は)明るく優しい子。息子といつも一緒に遊んでくれていた。とても心配」と表情を曇らせた。

 現場の横断歩道では毎朝、保護者の旗当番や教諭らの見守りなどで子どもたちの安全を確保している。下校時も、児童クラブの並びにある御正駐在所の警察官が警戒に当たることがあったというが、男子児童は「いつも見てくれる人が今日はいなかった」と話す。

 同校や市教育委員会によると、この日の1年生は5時間授業が行われた。放課後、自宅に帰る子どもと児童クラブに行く子どもに分かれて点呼を取る下校指導が校庭で行われ、それぞれが徒歩で下校を始めた直後の事故だったという。同校の関係者は「詳細はまだ把握できていない。明日以降の登下校時の対応や、子どもたちのケアについて協議している」と言う。

 市教委は事故の発生を受け、全ての市立小中学校宛てに児童、生徒の登下校時の安全確保をあらためて徹底するよう、メールで通知した。

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