福島県と長崎県「ドローン特区」指定 全国初、市街地配送目指す

 政府は4日、国家戦略特区諮問会議の会合を開き、規制緩和を地域限定で先行実施する「地域課題解決連携特区(連携絆特区)」に本県・長崎県を指定することを決めた。両県ではドローンのレベル4飛行と呼ばれる「有人地帯の目視外飛行」に関する規制が緩和され、ドローンを使った配送サービスの実装に向けて安全性などを確認する実証事業が行われる。県などによると、市街地でのドローン配送に向けた国家戦略特区は全国で初めて。

 県は将来的に、東京電力福島第1原発事故の影響が残る相双地域などでドローンを使った配送を実装したい考え。福島ロボットテストフィールド(南相馬市)周辺にはロボット関連企業が進出しており、3月には同市でドローンを使って牛丼を配送する実証事業が行われた。今後の実証事業もロボットテストフィールド周辺で行う方針だ。

 一方、長崎県は交通の便が悪い離島が多いことから、ドローン配送の実装を目指している。船の代わりにドローンを使い、離島の無人地帯へ医薬品などを届ける取り組みが既に行われているという。

 ただ現行の法規制では、ドローンのレベル4飛行にはルートごとに許可を得る必要がある。両県は個別の注文に応じて柔軟にルートを決められるよう、エリアごとに飛行許可を得る仕組みへの規制緩和を提案していた。今後の実証実験では両県が連携し、エリアごとの許可でも安全に飛行するために必要なルールを検討し、ドローン配送の実装につなげる。

 県は「本県にはドローン開発の技術力、長崎県にはドローン配送の実績がある。連携絆特区として情報共有しながら、レベル4飛行の安全性を担保できるルール作りを進めたい」(次世代産業課)としている。

 政府は半導体関連産業が集積する宮城・熊本両県も特区に指定することを決めた。外国人材の受け入れ拡大のために在留資格の審査迅速化や、半導体関連人材の早期育成に取り組む。

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