橋本を知る 郷土カルタ 発展するまちで「残したい」 相模原市緑区

読み札の裏には解説がびっしり。絵札は野口さんがその場所に足を運んで描いたという

「九日の日の出で命名旭小」「出土品に古代の橋本かいまみる」など、橋本の歴史をテーマにした「橋本郷土カルタ」。2006年に完成し、その年の橋本七夕まつりで原画が展示された。

制作したのは橋本郷土カルタをつくる会。橋本は1990年に京王相模原線が開通すると、それを契機に急速に発展していくことになる。会員の1人だった金山勝郎さん(88)は制作経緯について、「人口が一気に増えていき伝承、語り継がれてきたものが無くなってしまうのではという思いがあり、カルタにして残したいと作り始めた」と振り返る。「4人のメンバーでたくさんある候補の中からどこをカルタにするのか話し合ったね」と当時を懐かしむ。

2つのこだわり

基本的に1場所1ネタで、こだわったのは絵と読み札。「絵は会長の知人で画家の野口優子さんにお願いした。野口さんは行ける場所は全てそこに行って描いてくれた」と話す。一方の読み札は、「裏にその場所の歴史や伝承が書いてある。360文字にまとめるのが大変だったな」と思い出す。完成したカルタは地域の小中学校、公民館などに無償で配布。現在は絶版状態で、橋本公民館では館内に限り使用できる。

同会はカルタの完成とともに解散。それを発展する形で橋本の歴史を知る会が発足し、金山さんは代表を務めている。貴重なカルタを後世に残そうと、詳しく紹介する解説本とセットで第二版を作る動きもある。金山さんは「橋本は新しい住民の方もおり、カルタを持っていない会員もいる。発刊できるように検討していきたい」と力強く話した。

カルタを手にする金山さん

© 株式会社タウンニュース社