ジョコビッチがヒザのケガで全仏OPを棄権!「苦渋の決断を下さなければならなかった」。シナーが初の世界1位へ<SMASH>

衝撃のニュースが入ってきた。現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」男子シングルスでベスト8進出を決めていたディフェンディングチャンピオンのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク1位)が、現地6月5日に予定されていたキャスパー・ルード(ノルウェー/同7位)との準々決勝を右ヒザ内側半月板損傷により棄権すると発表した。

ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/30位)との3回戦、フランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/27位)との4回戦をいずれも4時間超えの激闘の末に勝利し、15年連続18度目の8強進出を果たしていた37歳のジョコビッチ。だがファンからは心配の声が上がっていた。

なぜなら彼は4回戦の第2セット途中でメディカルタイムアウトを取ったことに加え、試合後の記者会見でも「数週間前から右ヒザに軽い違和感があった。準々決勝はプレーできるかどうかわからない」と不安を口にしていたからだ。

ジョコビッチは4日に更新した自身の公式インスタグラム(@djokernole)で無念の思いを綴るとともに、棄権を決めた経緯を説明。続けてファンへの感謝の言葉で全文を締めくくった。

「ローランギャロス(全仏会場の名称)を棄権しなければならないことをお知らせするのは非常に残念です。昨日の試合(4回戦)では全力を尽くしましたが、(その後に)残念ながら右ヒザの内側半月板の損傷が判明しました。慎重に検討し、協議した結果、チームと共に苦渋の決断を下さなければなりませんでした」
「今週プレーする選手たちの幸運を祈ります。そして、素晴らしいファンの皆さんの愛情と継続的なサポートに心から感謝しています。またお会いしましょう。愛と感謝を込めて」

この直後にはジョコビッチと準々決勝を戦うはずだったルードもインスタグラム(@casperruud)で絶対王者を気遣うコメントを投稿。「望んではいなかった形で準決勝に進むことにはなりますが、昨夜の勝利とパリに残って金曜日にもう一度プレーするチャンスを得られたことにはとても満足しています」としつつ、「一方でノバクに幸運と早い回復を祈るとともに、彼がすぐにコートに戻ってくることを願っています」と記した。

この結果昨年の優勝ポイントを大幅に失効するジョコビッチは、大会後の6月10日に更新される世界ランキングで現2位のヤニック・シナー(イタリア)に王者の座を明け渡すことが確定。イタリア人選手が世界1位となるのは男女を通じて史上初の快挙だ。

グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/10位)に勝利した準々決勝の途中で新王者になることが決まったシナーは、オンコートインタビューで「何と言えばいいのか...。世界1位になることは全ての選手の夢だ。ただノバクが棄権するのは誰にとっても残念なこと。彼の早期回復を願いたい」との言葉を残した。

文●中村光佑

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