【速報】最後まで匿名「容認できず」 こうのとりのゆりかご2020~22年度検証 緊急避難機能は評価

熊本市の大西一史市長に検証報告書を手渡す安部計彦・専門部会長(左)=5日午前、熊本市中央区

 熊本市西区の慈恵病院が設置する「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の在り方を議論する同市の専門部会(部会長・安部計彦元西南学院大教授)は5日、第6期(2020~22年度)の検証報告書をまとめ、大西一史市長に提出した。報告書では、親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる点を「母子にとって緊急避難として機能」とする一方、「子どもの人権、養育環境を整える面から、最後まで匿名を貫くことは容認できない」と、実名を明かせる環境整備をあらためて求めた。

 報告書では、匿名性の評価について「援助に結び付ける入り口となり得る」としながらも「実親のケアや支援につながらない」と指摘。子どもの求めに応じ、出自を知る権利が担保できる取り組みを求めた。

 22年度までに預けられた170人のうち、児童相談所の事後調査などで約8割に当たる135人は身元が判明。身元判明の有無にかかわらず、預け入れ後の養育環境は特別養子縁組が最多だった。

 部会は児童福祉の専門家や弁護士、医師ら5人で構成。07年の開設から22年度までに預けられた170人の養育状況や運営の課題を検証した。(丸山伸太郎)

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