【速報】改正子育て支援法が成立「児童手当」等が拡充へ。一方で「子ども・子育て支援金」開始で負担増も

一覧表つき:被用者保険における「子育て支援金」の負担額はいくら?

2024年6月5日の参院本会議において、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。

これにより、12月支給の児童手当から支援内容が拡充されます。異次元の少子化対策と銘打った対策により、どこまで子育て世帯の負担が軽減されるのか注目が集まります。

一方で、財源確保のため支援金が公的医療保険に上乗せされます。

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児童手当が拡充へ

「児童手当」とは、子どもを養育している保護者に対して支払われる給付金のことです。

現行の制度においては、子どもが中学校を卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)するまでもらえます。

  • 0~3歳未満:月1万5000円
  • 3歳~小学生:月1万円(第3子以降は月1万5000円)
  • 中学生:月1万円

給付を受けられるのはありがたい一方で、現行制度では、たびたび”所得制限”に対する不満の声があがっていました。

現行制度が抱える児童手当の課題

【写真1枚目/全2枚】児童手当における所得制限の年収。2枚目の写真で一人当たりに上乗せされる”支援金額”をチェック

例えば児童2人と年収103万円以下の配偶者という4人家族の場合、年収960万円になると一律5000円の支給になってしまいます。

さらに同世帯で年収が1200万円を超えると、児童手当自体の支給がストップされるのです。

高所得者ほど高い税金を納税していることや、育児施策は平等に行うべきという観点から、所得制限が導入された当初から不満の声があがっていました。

子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案が可決・成立したことにより、2024年10月(2024年12月支給分)から児童手当が拡充されることになりました。

拡充案について具体的に見ていきます。

子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案が成立!児童手当は拡充へ

児童手当は、以下の3つを軸として大きく拡充されます。

  • 所得制限を廃止
  • 支給対象が高校卒業まで延長
  • 第3子以降は3万円が支給

これまで不満の声が多かった「所得制限」が撤廃されることになりました。つまり、年収が高い世帯でも児童手当が受けられるようになるのです。

また、現行では中学校3年生までとされる支給年齢を「高校生年代まで」延長することが決まりました。

さらに、3人目以降の支給額が3万円に倍増されます。

現行制度でも、3人目以降は月1万円→1万5000円と増額されていますが、これが倍になるとあって、多子世帯にとって助けとなることがうかがえます。

こうした児童手当以外でも、子育てのための時短勤務者や育休取得者、保育所等利用者に対しても支援が拡大されます。

ただし、社会保障費が高まることにより注目が集まるのがその”財源”です。

今回の「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」により、支援金の負担も正式に決まりました。

子育て支援金の財源「医療保険料に上乗せ」が決定

かねてから注目の集まっていた財源ですが、今回の法案が可決・成立したことにより、「子ども・子育て支援金」が創設されることとなりました。

こども家庭庁は、支援金の国民1人あたりの負担額が2028年度に月450円になると試算しています。

ただし、実際の金額は被用者保険の種類や年収等によって異なります。

被用者保険ごとの支援金の目安額は、以下の通りです。

加入者一人当たり支援金額

2026年度:被保険者一人当たりの平均額

  • 被用者保険全体:月額450円
  • うち協会けんぽ:月額400円
  • うち健保組合:月額500円
  • うち共済組合:月額550円

2027年度:被保険者一人当たりの平均額

  • 被用者保険全体:月額600円
  • うち協会けんぽ:月額550円
  • うち健保組合:月額700円
  • うち共済組合:月額750円

2028年度:被保険者一人当たりの平均額

  • 被用者保険全体:月額800円
  • うち協会けんぽ:月額700円
  • うち健保組合:月額850円
  • うち共済組合:月額950円

2028年度時点では、大企業による健康保険組合で月850円、中小企業が加入する協会けんぽで月700円、公務員などの共済組合で月950円と見込まれます。

この他、国民健康保険は1世帯あたりで月600円、後期高齢者医療制度では月350円の負担増となる見込みです。

なお、被用者保険においては事業主と労使折半するため、事業主にも負担が増える形です。

まとめにかえて

本日の参院本会議において、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。12月支給の児童手当から拡充が始まり、他にも子育て支援が強化されます。

多くの批判があがった所得制限が撤廃される一方、支援金の創設などで野党の批判は続きます。

物価高の今、こうした政策でどのような効果が出るのか、しっかり注視する必要があるでしょう。

参考資料

  • こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要」
  • 子ども家庭庁「子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について」
  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
  • 参議院インターネット審議中継

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