「きっと最高のヴォルフガング」古川雄大・京本大我(SixTONES)2024年版ミュージカル『モーツァルト!』始動

すべての写真(6)を見る

2025年に建て替えのため休館する東京・帝国劇場のクロージングラインナップとして、約3年ぶりに上演されるミュージカル『モーツァルト!』。その製作発表記者会見が6月4日(火)、都内で開催され、タイトルロールであるヴォルフガング・モーツァルト役Wキャストの古川雄大と京本大我(SixTONES)が登壇し、作品への思いや意気込みを語った。

「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」というテーマをベースに、重層的な作劇で“人間モーツァルト”35年の生涯に迫る本作は、ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)×シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のゴールデンコンビによる作品。2002年の日本初演以来、何度も再演が重ねられている大ヒットミュージカルだ。

ミュージカル『モーツァルト!』2024年ビジュアル(提供:東宝演劇部)

会見冒頭では本公演のビジュアルもお披露目。Wキャストふたりが扮するヴォルフガング・モーツァルトが全面にあしらわれたビジュアルを目の前にして、「いまだかつてこんなにヴォルフガングが全面に出てるビジュアルはなかったんじゃないでしょうか。すごい迫力で、圧倒されるぐらい素敵なビジュアル。公演が楽しみです」(古川)、初めて本作に参加する京本は「ずっと憧れてきた作品でまさか自分がやらせていただけるとは思ってなかったので、改めてこうやって視覚的に見ると圧倒されて、感動します」(京本)とコメント。

解禁されたビジュアルの前で会見に臨む古川雄大(左)と京本大我(SixTONES)

2018年より同役を務め、今回3シーズン目となる古川。初演時は「とにかく足掻いて、足掻いて、何とかやりきった」とふりかえり、再演時は技術的にも余裕が出て手応えを感じたと言うが、周囲からは「初演の方が良かった」という声が多く聞こえてきたそうで、「俺の掴んだものって何だったんだろう。お芝居ってすごく難しい」と苦悩を語りつつ、「(初演時の)何か足りないものを目指して追い求めていく姿みたいなものが、きっとヴォルフガングという役に反映されて生きたのかな」と分析。「成長していくたびに失われていくものもきっとあって、それを感じた2回目だった」。3度目の挑戦となる今回は、「攻めるポイントをたくさん作って自身を追い込んでいく」とのことで、「ベストなヴォルフガングを作れるように頑張りたい」と意気込み。「上手さとか貫禄とかは多分この役には要らなくて、何かそれを今回やりたい。見つけたいんです。その何かを。ヴォルフガングの生涯を描く上で、また何か新しいアプローチが必要かなと思っています」と特別な思い入れ。

古川雄大

10年ほど前からミュージカルに魅了され「いつか自分もモーツァルト役を務めたい」という「大きな夢」を胸の奥に抱いていたという京本は、「20代ラストの年に『モーツァルト!』という作品に挑戦させていただく機会をいただけて本当に光栄に思っております」と喜びもひとしお。また、古川とは京本が初めてミュージカルに挑戦した『エリザベート』(2015~16)で、ともにルドルフ役(Wキャスト)を務めた間柄で、「僕にとっては本当にお兄ちゃんみたいな存在。10年前からたくさん甘えて、たくさん引っ張っていただいて支えてもらっていたので、ちょっとは大人らしくなったところを見せたい……と思いつつもまだまだ頼ってしまうところもあると思う」とはにかみつつ、「大変なこともあると思いますが、稽古場も自分らしく楽しく役と向き合って、自分らしいヴォルフガングを作り上げていけたらいいなぁと思っております」と頼もしい言葉。

そんな京本について古川は、すごく努力派ですごくストイックな一面がある。同じ役をやらせていただく中で感じることもありましたし、彼が主演している作品を観た時に、改めてその成長というか、彼が見えないところでどれだけ努力してるかというのがステージ上から伝わってきた。美しい見た目だけじゃない彼の努力は僕が尊敬しているところです」。また、久々に会って「雰囲気が変わった」とも。「おそらくいろんな公演で座長なども経験されていく中で、すごく視野が広がったというか、さっきも(楽屋で)いっぱい話しかけてくれて。成長したんだなと勝手に感じてました」。

対する京本も「雄大くんにもすごいストイックさだったりとかお芝居も繊細で細かいところまでこだわって突き詰めてやられてる印象もありますし、でも男らしさみたいなものもしっかり兼ね備えていて、僕の憧れというか理想的な男性」と熱く語りつつ、「初めて10年前お話しした時は急に『チョコレート食べる?』と言ってチョコレートをくれて、それで僕は緊張していたのが和らいだりして。そういう素敵なお兄ちゃん的な面もありながら、気づいたら筋トレをしていたり、マイペースなところも魅力的。観察していてもすごい楽しい素敵な先輩」と信頼しきりだ。

尊敬しあい、刺激しあう間柄

ふたりが演じるヴォルフガングという人物の魅力、役づくりについて。古川は「天才をやるのってすごく難しいと思うんですけど、音楽以外は全くダメな人。直感で動いてしまう人で、そこが彼の面白い魅力でもあり、ダメなところでもある。それぞれの役との関係性をしっかり描きながら、とにかく追い込んで、役だけでなく古川雄大自身も追い込むということで、何か初演の時のようなあの切羽詰まった感じを出したい。とにかく甘えずにいけたらと思います」と語る。

「役作りに終わりはないと思う」という京本は、「天才の役を僕みたいな、特別秀でていない人間がコツコツ積み上げて作り上げる面白さって絶対ある」と自論を述べ、「この役は、肉体面においても精神面においても、かなり鍛え上げておかないと。(本番期間も長いので)役と向き合っていくうえで、京本大我としての強さも持っておかないと自分がダメになってしまう怖さもある。いろんなところを気をつけながら向き合っていきたい」と意気込み充分。3回目にして新たなアプローチを試みている古川と、初挑戦に挑む京本による、2024年版ヴォルフガング・モーツァルト像に期待が高まる。

京本大我(SixTONES)

12年前の初演からミュージカルファンを魅了し続け、今回8シーズン目となる本作だが、これまで日本公演で主演のヴォルフガング・モーツァルト役を務めたのは、井上芳雄、中川晃教、山崎育三郎、そして古川のたった4人。古川曰く「僕を含め先輩方が席を譲らなかったからだと思うんですけど、それだけ魅力のある役なんです」。今回5人目として、新たに京本が名を連ねることになる。「やっと、念願の5人目。(『エリザベート』の)ルドルフとしてWキャストをやらせていただいたり、トートとして(京本演じる)ルドルフと向き合ったりしながら、彼の素晴らしさというか魅力は分かっているので、きっと最高のヴォルフガングを作ってくれるんじゃないかなと思っています。稽古場でもたくさん刺激をいただきたいなと思っておりますし、僕も彼に刺激を与えられる存在でありたい」と期待を寄せる。また、「彼は自分で天才じゃないって言ってるけどもう天才なんです。ルドルフの、俺があんな苦労したナンバーを軽々やっちゃう……」だから「アドバイスすることは何もない」とも。

その京本は「(過去の公演で観て)雄大くんのヴォルフガングは美しいし、芯の強さもあるし、すごく魅力的だった。決して真似をするわけではなく、でも素敵なところは勉強させてもらいながら、Wキャストで本番中は多分会わないんですけど、裏(バックステージ)でも楽しくできたらいいなと思っています」と話す。

左から)古川雄大、京本大我(SixTONES)

最後に「今回、5代目のモーツァルトが誕生して、他にもキャストが変わってます。また新しくなったモーツァルトの座組ですが、今まで愛してくださった方、そこでの変化を感じていただけたらいいなと思いますし、このカンパニーならではの色をお届けできるように頑張っていきたいと思いますので応援よろしくお願いします」(古川)、「本当に初めての挑戦。ここまで経験させてもらったことも大事にしつつ、自分としては新鮮に、いろんなことを取り込んでいく勇気だったり、そういう思いもしっかり大事にしてこのヴォルフガングというとても難しい……(山崎)育三郎さんも当時すごく大変だったとおっしゃっていたので、それだけ難しい役。雄大くんが『自分を“追い込む”』とおっしゃってましたけど、僕はもう自分を“追い殺す”つもりで、本当に壊れる寸前ぐらいまで自分を痛めつけながらやらないと、皆さんに感動だったり、感じていただけることがないだろうなと思うので、皆さんに支えてもらいながらもしっかり自分の足でこの役をステージ上で演じたいと思っております」と各々意気込みを語り会見を締めくくった。

3年ぶりの上演となるミュージカル『モーツァルト!』は、8月19日(月)から9月29日(日)まで東京・帝国劇場にて上演。その後10月8日(火)から27日(日)まで大阪・大阪梅田芸術劇場メインホール、さらに11月4日(月・休)から30日(土)まで福岡の博多座に巡演。

<公演情報>
ミュージカル『モーツァルト!』

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会

演出・訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)

出演:
ヴォルフガング・モーツァルト役 古川雄大・京本大我(Wキャスト)
コンスタンツェ(モーツァルトの妻):真彩希帆
ナンネール(モーツァルトの姉):大塚千弘
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世・香寿たつき(Wキャスト)
コロレド大司教:山口祐一郎
レオポルト(モーツァルトの父):市村正親

セシリア・ウェーバー (コンスタンツェの母):未来優希
エマヌエル・シカネーダー(劇場支配人):遠山裕介
アントン・メスマー(医師):松井工
アルコ伯爵 (コロレドの部下):中西勝之

アンサンブル:朝隈濯朗 安部誠司 荒木啓佑 奥山寛 後藤晋彦 木暮真一郎
田中秀哉 西尾郁海 福永悠二 港幸樹 山名孝幸 脇卓史
彩花まり 池谷祐子 伊宮理恵 樺島麻美 久信田敦子
鈴木サアヤ 原広実 松田未莉亜 安岡千夏 柳本奈都子

【東京公演】
2024年8月19日(月)~9月29日(日)
会場:帝国劇場

【大阪公演】
2024年10月8日(火)~10月27日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール

【福岡公演】
2024年11月4日(月・休)~11月30日(土)
会場:博多座

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/mozart/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/mozart/index.html

すべての写真(6)を見る

© ぴあ株式会社