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『鬼平犯科帳 血闘』『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』に出演している市川染五郎さんらが、共演の感想を語りました。
現在公開中の劇場版『鬼平犯科帳 血闘』で主人公・長谷川平蔵(松本幸四郎)の青春時代・銕三郎を演じる市川染五郎さん(19)と、おまさ役の中島瑠菜さん(17)。
そして、テレビ放送もされ、現在は配信サービスで視聴できる『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』で、銕三郎(染五郎)の親友・岸井左馬之助を演じる阿佐辰美さん(23)と、左馬之助が思いを寄せるおふさに扮する菊池日菜子さん(22)。
めざましmediaではフレッシュな4人による座談会を実施。瑞々しい感性からみた時代劇の魅力や出演の感想を聞きました。
さらに、後半では阿佐さん、菊池さん、中島さんから染五郎さんへの質問コーナーも。劇中ではシリアスなやりとりを展開した4人による和気あいあいトークをお楽しみください。
<市川染五郎×中島瑠菜×阿佐辰美×菊池日菜子 SP座談会>
――今回はとてもレアなメンバーに集まっていただきました。染五郎さん、現在の心境は?
染五郎:『鬼平犯科帳』は僕らと同世代の方にも観ていただきたい作品なので、そういう意味でもこの4人で作品の見どころをお伝えできる機会をいただけたことに感謝しています。
――この座談会の後には劇場舞台挨拶が行われますが、阿佐さんは初めての登壇なのだとか。
阿佐:そうなんです。すごく緊張しているので、今日は染五郎さんについていこうと思っています。皆さんにご迷惑をかけない、それが今日の目標です。
――菊池さんと中島さんは今日が初対面だそうですね。
中島:そうなんです。
菊池:さっき初めてお会いしました。
――お二人は舞台挨拶の経験は?
菊池:数えるぐらいしかないので、私も阿佐さんと同じくらい緊張しています。
中島:私は「血闘」の公開初日に染五郎さんと一緒に登壇させていただいたばかりですが、同じく緊張しています。
――今日は染五郎さんがリーダーのような立場ですね。
染五郎:いえいえ、僕も緊張していますので(笑)。
阿佐辰美 距離をつめるため市川染五郎に猛アプローチ
――現在、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』が公開中、テレビスペシャル『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』は配信中ですが、阿佐さんと菊池さんは「血闘」を、中島さんは「本所・桜屋敷」を観た感想を聞かせてください。
阿佐:まずは冒頭の銕三郎が敵陣に向かうシーンで、左馬之助として隣に立ちたかったなと感じましたね。そして、“鬼平犯科帳”というのは愛の物語なのだということを再認識しました。
菊池:大人になったおまさ(中村ゆり)さんを観て感じた魅力に、中島さんが演じた少女時代のおまさから通じるものがあったので、それ以来、中島さんにお会いできることをずっと楽しみにしていたんです。
そして、男性陣の迫力ある殺陣や、女性の妖艶さも際立っている作品だと感じました。現代劇では絶対に観ることができないものだからこそ、私たちのような若い世代にも広く知ってほしいと思いました。
中島:「本所・桜屋敷」は完成披露試写会で観させていただきました。時代劇を劇場で観るのはほぼ初めてでしたが、瞬(まばた)きを忘れて目が乾燥してしまうぐらい、のめり込んでしまいました。甘酸っぱい恋のお話も盛り込まれていて、とても素敵でした。
――染五郎さんからは「本所・桜屋敷」で共演し交流を深めたという阿佐さんとの撮影の思い出を聞かせてください。
染五郎:左馬之助と銕三郎は剣の修行をともに重ねてきた親友という設定だったのですが、カメラがまわっていないときも阿佐さんのほうからたくさん話しかけてくださり、距離感を作ってくださいました。
歌舞伎以外の作品で同世代の方とバディを演じる機会はこれまでなかったので、とにかくうれしかったですし、たくさんの刺激をいただけた時間でした。
――合間はどんな会話をしていたんですか?
阿佐:僕のほうから質問攻めに(笑)。染五郎さんには以前からクールなイメージを抱いていて、そのイメージが崩れることはありませんでしたが、意外な部分を知ったことで、僕たちの距離も縮まったのかなと思います。
――意外な部分というのは?
阿佐:「京都に滞在している間は何をしましたか?」とお聞きしたら、「映画を観に行ってきました」と返ってきて、さらに、その作品が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だったので、「染五郎さんもマリオを観るんだ」と驚きました。
あとは、学生時代にまわりから何と呼ばれていたのかなど、プライベートに踏み込んだことまでお聞きして、勇気を出した甲斐があったなと思っています。
染五郎:(笑)。阿佐さんのほうから歩み寄ってくださったので、本番中に特別なスイッチを入れなくてもいいといいますか、自然に役に入ることができました。
――菊池さんはそんなお二人を現場で見ていたんですよね。
菊池:私が撮影に参加したとき、お二人は自然に会話をしていらっしゃったので、「(関係性が)すでに出来上がっているんだな」というのが第一印象でした。
市川染五郎 年下の俳優との共演は「新鮮な感覚だった」
――菊池さんと中島さんからも撮影の思い出を聞かせてください。
菊池:嫁いだ後のおふさが心に傷を負い、川に入っていくシーンが私は印象に残っています。物語において肝になるようなシーンだったので、撮影の何日も前からおふさの気持ちを自分の中に叩き込んで挑みました。
とても演じることが難しいシーンでしたが、監督が時間をかけておふさの心情を説明してくださったので、おふさと同化することができたといいますか、無我夢中で演じることができました。
――中島さんは、盗人酒屋で銕三郎を介抱するシーンがほとんどでしたね。
中島:酔った人を介抱した経験がまだないので、人を抱き起すって難しいんだなと感じました(笑)。撮影自体は短期間でしたが、その中に濃いものがギュッと詰まっていて、勉強になることばかりでした。
――普段、年上の俳優さんに囲まれている染五郎さんにとって、年下の方との共演は珍しいのでは?
染五郎:歌舞伎界では同世代の俳優が少なく、僕より年下ですと、小学生などの子役になってしまうので、とても新鮮な感覚でした。
松平健のオーラに圧倒!染五郎「マツケンカフェ」を訪れるも…
――「本所・桜屋敷」は松平健(松岡重兵衛役)さんの出演が大きなトピックでしたね。
染五郎:メイク室でお会いしたのが最初だったのですが、オーラに圧倒されてしまいました。劇中、道場にて1対1で剣を交えるシーンは役柄の重兵衛としての威圧感を感じる一方、カメラがまわっていないところでの松平さんはとても優しく、チャーミングな方でした。
阿佐:小舟に乗っている平蔵と左馬之助(山口馬木也)を重兵衛が橋の上から眺めるシーンの撮影を見学させていただいたのですが、人間のオーラってモニターを通しても伝わってくるんだと驚いた記憶があります。それぐらい松平さんの存在感はすごかったですね。
――唐突ですが、「マツケンサンバを一緒に踊ってほしい」と誘われたらどうしますか?
阿佐:お金をお支払いしてでもご一緒させていただきたいです(笑)。
染五郎:それこそ今回の撮影中、渋谷で開催されていたマツケンカフェ(ビバ ~マツケンサンバⅡワールドカフェ ~オレ!アンコール)に行ってみたのですが、整理券が売り切れてしまっていて入れなかったんです。とても残念でした。
――時代劇の魅力を同世代の皆さんにどう伝えたいですか?
中島:同年代の今まで時代劇に興味がなかった方、時代劇を観たことのない方に観てもらえたらいいなと思います。
この『鬼平犯科帳』シリーズは一度観始めたらすぐに入り込んでしまうくらいストーリーも素敵。人情や人と人の絆などに注目しつつ、現代に通じることもたくさんあるので、是非観ていただきたいです。
菊池:私たちは生活のすべてをインターネットに頼ってしまっているといっても過言ではないくらい、情報量の多い世の中を生きています。だからこそ、他人だけでなく、自分のことすらしっかり見つめることもできず、疎(おろそ)かになっているのではないかなと。
そんなことを私自身の課題に感じていたときに初めて時代劇に出演させていただき、そして完成した作品を観たときに、長谷川平蔵やそのまわりで生きる人たちのまっすぐな美しさがとても素敵に描かれていて、感銘を受けました。
若い世代の私たちだからこそ気づける魅力、新しい発見があると思うので、1人でも多くの方に観ていただけたらうれしいです。
阿佐:僕自身、これまで前のめりに時代劇に触れてきたかというと、そうではなかったのですが、今回のシリーズに参加させていただくことが決まってから原作を読んだり、過去の映像を観たりする中で、愛の物語に惹かれ、現代に通じる友情や人と人の絆を感じることができました。
一度ふれていただけたら「こんなにも面白いんだ」と感激すると思いますので、僕たちと同世代の皆さんにも時代劇の魅力を知っていただきたいです。
染五郎:「本所・桜屋敷」と「血闘」はほぼ同時期に撮影していたのですが、完成したものを観たら、「血闘」からは映画館で観るべきスケール感を感じたので、作品ごとの持ち味を楽しんでいただきたいです。
歌舞伎もそうですが、「ちょっと敷居が高いのではないか」「難しいものなのでは?」という不安を抱いている方も多いと思うので、直接観て確かめてほしいなと思います。
【質問コーナー】阿佐辰美×菊池日菜子×中島瑠菜 教えて!染五郎さん
阿佐:僕からいきますね。クールなイメージの染五郎さん。プライベートで思わずテンションが上がる瞬間はありますか?
染五郎:あると思いますよ(笑)。どういうときか…(考え込む)。
阿佐:ちょっといきなり踏み込み過ぎましたかね(笑)。
染五郎:いえいえ(笑)。自宅で夜中の2時くらいにホラー系のゲームをしていたのですが、家族みんなが起きてくるんじゃないかっていうくらいの大声で「うわーっ」と叫んでしまったんです。ホラー映画が苦手なので、情緒が大変なことになっていました。
阿佐:一緒にホラー映画を観にいきたいです。
菊池:私もご一緒していいですか?
阿佐:怖がっている染五郎さんを見てみたいです。いいことを聞けました。
菊池:実はかしこまった質問を用意していたのですが、ちょっと砕けたことを聞いてもいいですか。この夏、やりたいことを教えてほしいです。
染五郎:少し前に運転免許を取得して、屋根が開く車を購入したんです。だから、景色がいい場所で屋根を開けて走りたいですね。
菊池:海とかどうですか?
染五郎:いいですね!
中島:私は美容に関することをお聞きしたいのですが、お肌がすごくキレイなので、どんなケアをしていらっしゃるのかなって。
染五郎:美容にはあまり詳しくないですし、化粧水などもヘアメイクさんに選んでいただいているので、特別なことは何もしていないんですよ。
ただ、歌舞伎の化粧は下地をゴシゴシこすって塗ったり、おしろいも分厚く塗ったりして、肌が荒れてしまうので、逆に皆さんがどんなことをしているのか知りたいです。
菊池:「何もしていない」っていうのは、手が込んでいる方の常套句だと私は思っているので(笑)。
染五郎:本当に何もしていないんですよ。化粧水をつけるぐらいです。
中島:間近で拝見しても本当にキレイです。
この夏は4人で美術館めぐりを計画!?
中島:私はこれからも時代劇に出演したいと思っているのですが、所作などより美しく見えるアドバイスをいただきたいです。
染五郎:これまで数える程度しか女形をやったことはないのですが、歌舞伎の女形というのは男性らしい骨格をどうやったら女性らしく見せることができるかということを先人が研究して、残してきたものなんです。
「女性より女性らしく」みたいなことはよく言われますが、日本人の美意識として、日本の浮世絵や彫刻などを見るとあまり直線がないんですよね。
ですから、自分が女形をやるときはいかに丸みを表現できるか。肩を落として丸くすることもそうですし、化粧にしてもピンクのチークをどこに入れたら女性らしい顔つきになるか。僕はどちらかというと骨ばっている顔立ちなので、丸みを出すことを常に研究しています。
中島:勉強になります。
阿佐:この4人で遊びに行くとしたら何がしたいですか?ちなみに僕は染五郎さんと美術館に行きたいです。
染五郎:撮影中からずっと言ってくれていましたね(笑)。
阿佐:展示物が染五郎さんにはどう見えていて、どんなふうにアートに向き合っていらっしゃるのか興味があるんです。
染五郎:そんなに詳しくないですよ(笑)。美術館めぐり、行きましょう!
撮影:今井裕治