木村拓哉、31年前の『あすなろ白書』ほうふつ姿も…『Believe』がいまいち盛り上がらない「3つの不幸」

木村拓哉(C)ピンズバNEWS

6月6日、木村拓哉(51)主演でテレビ朝日開局65周年記念の連続ドラマ『Believeー君にかける橋ー』(テレビ朝日系/木曜夜9時~)の第7話が放送される。木村演じる狩山陸は「一度はふたをした真実」を明らかにするために刑務所から脱獄し逃亡劇を繰り広げているが、第6話で見せた姿が“31年前“をほうふつとさせ話題となっている。

【以下、『Believe』第6話のネタバレを含みます】

紆余曲折を経て静岡県で逮捕された狩山だったが、狩山を逮捕した刑事・黒木(竹内涼真/31)も“真実”を追っていて、利害の一致から狩山を移送中に意図的に逃がした。その後、狩山は理髪店へ駆け込み無精ひげを剃り、大きな伊達眼鏡をかけて変装し、服も着替えて町中へ。証拠集めの旅へ――という内容が描かれた。

だが、X(旧ツイッター)では、主人公の狩山が変装してもマスクや帽子を被らず顔がバレバレだったことにツッコミが殺到したほか、短髪でメガネ姿の木村を見て、

《Believeの木村拓哉、最後に黒縁メガネ掛けてたんだけど、あすなろ白書の取手くんだったわ》
《なんか懐かしい気持ちになるのは、あすなろ白書の時を彷彿とさせるからか!?》

と、木村が“眼鏡男子の取手治”役で出演していた1993年10月期の石田ひかり(52)、筒井道隆(53)のダブル主演ドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)を思い出す声が多く寄せられたのだ。後ろから女性を抱きしめる“あすなろ抱き”や、「ちょ待てよ」に次ぐ“キムタク”の代名詞「俺じゃダメか?」の元ネタとなった名作ドラマである。

思わぬ形で話題を集めた『Believe』だが、制作会社関係者は、

「放送前に期待されていたより、盛り上がってはいないですよね……」

と話し、こう続ける。

「『Believe』はテレビ朝日の65周年記念番組で、主演は天下のキムタク。放送前は4月ドラマの最大の話題作として注目されていました。実際、第1話(4月25日)は今、テレビ界が最重要視している13~49歳のコア視聴率も2.8%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)でシニア層の視聴者が多いテレ朝ドラマとしては上々の滑り出しだった。

しかし、その後、どんどんコア視聴率は下降し、第6話(5月30日)では1.7%にまで落ち込んでしまった。これは、木村さんの主演作かどうかをおいても、非常に厳しい数字。同時間帯の主要民放キー局では最下位ですね」(前同)

ちなみに、4月期ドラマでコア1位を独走している長谷川博己(47)主演の連続ドラマ『アンチヒーロー』(TBS系/日曜夜9時~)は第6話(5月19日)が4.5%と、勢いを維持したまま物語も後半へ進んでいる。

■『Believe』に生じた3つの不幸

『Believe』の世帯視聴率はほぼ10%。テレビ離れが進むなかでは立派な数字と言えるのだろうが、現在、テレビ界がターゲットとしている若い層が見ていない。なぜ若年層を巻き込む形での盛り上がりがないのか――その理由は、「3つの不幸が重なった結果」(民放キー局関係者)という指摘もある。

「まず大きいのが、当初予定していた内容と全く別の脚本に変わったことですよね。本作は開局65周年記念作ですから、しっかりとした企画を練り上げていたはず。木村さんの主演も、23年8月の段階で内定していたといいます。脚本家も、『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日/18年1月期)など、これまで何度も木村さんの主演作を手掛けてきた井上由美子さんですから相性も良いはずですよね。

ところが、昨年9月にジャニー喜多川氏(享年87)の加害問題を事務所が認めたことが要因で、大幅にシナリオを変更することになったといいます」(前同)

当初『Believe』の枠では、“報道”がテーマで、木村がジャーナリスト役のドラマを想定されていた。しかし、ジャニー氏問題が盛んに報じられる中で同事務所のタレントがジャーナリストを演じるのは適当ではないと判断され、内容が大幅に変更されることになった、と一部で報じられている。

「2月初旬の段階で木村さんが脚本に納得せず、まだクランクインができていないという報道もありましたが、3月中旬にようやく本格的にクランクインし、初回放送が4月25日――主演が脚本に意見をするのは当然ですし、誰が悪いということではないのでしょうが、とにかく、時間がなかったですよね。それで、シナリオの質が落ちてしまったところはありそうです」(同)

また、本作の制作総指揮は天海祐希(56)主演でテレ朝のヒット作『緊急取調室』シリーズ(14年1月期~)を手掛けた人物が担当している。その縁か木村の妻役に天海を起用したことを筆頭に、小日向文世(70)、田中哲司(58)といった『緊急取調室』のキャストが起用されているほか、開局65周年ということで北大路欣也(81)、上川隆也(59)、賀来千香子(62)といった重厚感のある俳優が多数キャスティングされている。しかし、

「結果として、若い視聴者には刺さりにくい重厚すぎる俳優陣が揃ってしまった感がありますよね。もちろん、みなさん演技力は素晴らしい人気俳優ですし、まだ若い竹内さんもいますが、コア層には響かないキャスティングになってしまったのではと。これが2つ目の不幸。そして3つ目の不幸というのも、この主演級俳優が揃いすぎたことで生じた問題です」(同)

Xでは『Believe』のキャスティングに関して、

《何かキムタクと天海祐希の夫婦ってイマイチ違和感あるし竹内涼真が出て来ると、どっちが主演だか分からなくなる…と言いながら見てる》
《キムタクのドラマ、奥さん役は絶対天海祐希じゃなかったな…》

など、主演クラスの俳優ばかりであることが弊害になっていることが伺える意見も目立つ。

「木村さんかお相手俳優が、明らかに一歩引いた感じで映れば違ったかもしれませんが、皆が主人公のような強い存在感になっていますよね。

最近の木村さんの主演作で言えば『未来への10カウント』(テレビ朝日系/22年4月期)や『教場シリーズ』(フジテレビ系/2020~)のような“指導者(木村)と生徒”の構図なら必然的にバランスも取れていたかもですが、今回は主人公感が出ている人が多すぎて、バランスが悪く見えてしまうところはありそうです」(前出の民放キー関係者)

思わぬ三重苦となってしまった感がある『Believe』。劇中ではようやく事態が好転し始めたが、現実での逆襲は、果たして――。

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