「伝えられたのは試合の2日前くらい」湘南MF鈴木淳之介がCBへのコンバートで才能開花なるか「出られるならどこでも良い」

「J1の強度で後ろでやれるのかと心配だった面もありましたが、思った以上に戦えた」

湘南ベルマーレのMF鈴木淳之介が、新境地で花開きそうだ。

6月1日、J1第17節でガンバ大阪と対戦し、1-2で敗れたゲームで、サプライズがあった。これまで3-5-2のサイドボランチやアンカーでプレーしていた鈴木淳が、3バックの中央でリーグ戦初先発を果たした。

主将のキム・ミンテの負傷離脱でリベロの代役に注目が集まっていたなか、山口智監督は攻撃的MFも務める20歳をCBにコンバート。本人も「びっくりはした」と話すが、試合ではビルドアップに果敢に関わり、攻撃に変化をもたらした。

鈴木淳は自身のプレーをこう振り返る。

「センターバック起用を伝えられたのは、試合の2日前くらい。でも、練習から準備をしてきたので、“やれないことはないだろうな”と思っていました。実際、公式戦でやれたので、良かったです。考えて、工夫をしながらできました」

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帝京大可児高時代は、2ボランチの一角から積極的にドリブルで攻撃参加し、高精度のパスで決定機を演出するスタイルで、22年のプロ入り後も同様のプレーを披露。しかし、田中聡や平岡大陽ら、世代別代表に名を連ねた経験を持つライバルとの競争に敗れ、満足な出場機会を得られずにいた。

プロ3年目の今季、ついにJ1初先発を果たした試合で、本来のポジションではなかったかもしれないが、鈴木淳は新境地でのチャレンジをポジティブに捉えている。

「僕としては、今日は後ろなんだ、くらいの感覚。色々なポジションをやれた方が良いと思っていますし、試合に出られるならどこでも良い。センターバックでも“ありがとうございます!”って感じ(笑)。ただ、満足したら終わりですし、やっとJ1で長い時間、出場できたので、継続していけるように準備していきたいです」

次節は、代表ウィーク明けの6月16日に名古屋グランパスのホームに乗り込む。キャスパー・ユンカーやパトリック、永井謙佑ら個性豊かなアタッカー陣に対し、鈴木淳はどう戦い、どう自身の色を出していくのか。

再びCBで好パフォーマンスを見せられれば、今後の定位置確保へ向けて大きなアピールとなるだろう。さらなる奮起に注目だ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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