トルドー加政権が利下げ歓迎、生活費高騰巡る野党の追及に直面

David Ljunggren

[オタワ 5日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)が5日の会合で4年ぶりの利下げを決定したことを受け、トルドー政権の閣僚から喜びの声が上がっている。これまで生活費高騰の責任を野党から厳しく追及されていたからだ。

最近の世論調査では、来年10月終盤までに行われる総選挙でトルドー首相が率いる自由党が、野党の保守党に敗北する見通しが示されている。保守党は、トルドー氏にインフレや住宅費高騰、財政支出肥大化の責任があると批判する。

こうした中で利下げが発表された。

シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は記者団に「本日は全家庭が幸福を味わっている。これは大きなニュースで、各世帯が求めていた新鮮な空気の息吹だ。夏を迎えるに際してわれわれは『峠は越えたと思う』と自分たちに言い聞かせつつある」と語った。

カナダの物価上昇率は足元で2.7%とまだ中銀が目標とする2%を上回っているものの、2022年6月に記録したピークの8.1%からは大きく鈍化した。

拡大を続ける財政赤字への対策を取り仕切るフリーランド財務相も、利下げを歓迎。「われわれは懸命になって中銀が利下げできる経済環境を創出しようとしてきた。本日、その努力の成果を目にしている」と述べた。

世論調査機関ナノス・リサーチ創業者のニック・ナノス氏は、利下げが生活費高騰問題を巡るトルドー氏の政策運営の追い風になり得るとの見方を示した。

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