治らない口内炎、じつは「がん」の可能性も⁉放置するとヤバい口内炎の特徴

deeepblue/gettyimages

いつの間にかできて、なかなか治らない口内炎。余程ひどいものでない限りは治るまで放置するのが一般的ですが、口内炎の放置が最悪の事態を招くこともあるんだとか。

つのだデンタルクリニックの院長で、口腔外科と歯科心身症の専門家である角田智之氏に聞きました。

Q.口内炎の放置が招く最悪の事態とはなんでしょうか?

口腔内にできるものの多くは一般的な口内炎(アフタ性口内炎)であり、自然に治癒することがほとんどです。約1~2週間で治れば心配は不要と言えます。また、舌や口内を誤って咬んでしまったり、やけどしたりした後にも口内炎(カタル性口内炎)はできます。この場合、部位によっては痛みを強く感じます。

急に口内炎がたくさんできて、発熱やあごのリンパ節の腫れなどが出た場合は、ウィルス性口内炎の可能性があります。また、治ったりできたりを繰り返す口内炎は、自己免疫疾患の口腔内症状の可能性もあります。

それらのなかで、放置してはいけない口内炎は「しこり」があるもの。しこりは口腔がんの初期症状のひとつで、一般的な口内炎と似ているからです。

口内炎か口腔がんかどうかを判別する場合は、「同じ部位にずっとある」といった「部位と期間」を目安にしてください。また、口腔がんは腫れや痛みを伴うことも、伴わないこともあります。

Q.口内炎なのか「がん」なのか判断がつかず、不安な場合はどうしたらいいですか

itakayuki/gettyimages

「がんだったらどうしよう」といった不安もあるかもしれませんが、歯科医に診てもらってください。前述のとおりほとんどは一般的な口内炎であり、受診によって安心が得られるでしょう。

目安としては2週間から1か月以上、口内炎が治らない場合は受診してください。仮に口内炎ではなく、がんやできものだったとしても早期に治療すれば完治できます。

歯科はトラブルがなくても受診できる診療科ですから、定期的な受診がおすすめです。とくにお口の中は、自分で変化に気づきにくい部分。歯や歯ぐきのメンテナンス時に専門家にチェックしてもらい、気になることがあれば気軽に相談してみてください。的確なアドバイスで、安心感を得ることができるでしょう。

私の経験ですが、1カ月以上治らない下唇の大きな口内炎を理由に受診された高齢の女性がおられました。歯がふれているなどの口内炎の原因となるものが見当たらず、がんを疑い細胞や口内炎の一部を取って検査しましたが、がん細胞は発見されず、外科的に切除して治った場合もありました。

Q.口内炎ができやすい人・治りにくい人にはどのような特徴がありますか

疲れやストレスをため込んでいる人は、口内炎が重症化しやすいといえるでしょう。疲れやストレス、睡眠不足などは体の免疫機能を著しく低下させます。結果、口内炎が治らず広がってしまうことがあります。

ほかにも虫歯や歯周病を放置して歯科医院に何年も受診していないなど、口腔内環境の悪化によって局所的な免疫低下が引き起こされ、重症化するケースも考えられます。

性感染症(梅毒、淋病など)による口腔内症状として、口内炎が現れることもあるので注意が必要です。

Q.口内炎を少しでも早く治すためにできることはありますか

まずは体調とストレスの管理です。もし口内炎が頻繁にでき、不摂生な生活が続いているなら、体からの「危険な状態」との警告ですので、症状だけに固執せずにベースとなる生活習慣を見直しましょう。

市販薬で治すこともありますが、受診して医師の診断のもとに処方薬を使うことができると安心です。薬のほかに、場合によってはレーザー治療で早く治すことも可能でしょう。

教えてくれたのは・・・

角田智之(つのだ ともゆき)さん

歯科医師。つのだデンタルケアクリニック院長・歯科医師臨床研修指導医・日本選択理論心理学会認定選択理論心理士。1992年、明海大学歯学部卒業。日本大学板橋病院、社会保険横浜中央病院、久留米大学病院、(医)高邦会高木病院歯科口腔外科を経て、2008年福岡市博多区につのだ歯科口腔クリニックを開設。2015年同じ博多区内で移転開設し、つのだデンタルケアクリニックに名称変更。予防診療と舌痛症のメンタルカウンセリングを行っている。専門分野は口腔外科、歯科心身症。

「つのだデンタルケアクリニック」公式サイト

舌専門サイト「舌痛症」

Instagram

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

© 株式会社ベネッセコーポレーション