三球三振の次は特大ホームラン――“怪物”スキーンズと大谷の対決がメジャーリーグの新たな“名勝負数え唄”となる日<SLUGGER>

メジャーリーグの新たな“名勝負数え唄”になる――そんな期待を抱かせる対決だった。

6月5日(現地)、昨年のドラフト全体1位指名選手ポール・スキーンズ(パイレーツ)と大谷翔平(ドジャース)が初対戦した。

5月11日に鳴り物入りでメジャーデビューを果たした“怪物”と球界最大のスーパースターの対決。初回、先頭のムーキー・ベッツを空振り三振に打ち取ったスキーンズは、続く大谷に対して3球続けて100マイル超の4シームを投げ込んみ、いずれも空振りで三振に仕留めてみせた。

3回の第2打席、ここでもスキーンズは自慢の剛速球で2球空振りを奪って大谷を追い込む。しかしフルカウントからの6球目、自信満々で投じた高めの4シームを大谷が振り抜くと、打球は高い放物線を描いてセンターへ。打球速度105.6マイル(169.9キロ)、飛距離126.5メートルの完璧なホームランとなった。

打たれた瞬間、思わず「やられた!」というような表情を浮かべていたスキーンズ。ちなみに、彼が100マイル以上の球を本塁打にされたのは、プロ入り後これが初めてである。さらに、大谷がホームランを打った中でもキャリア最速のボールだった。これを名勝負と言わずして何と言おう。 そして、5回の第3打席も大谷の勝利だった。カウント1-1からの3球目、98.1マイルの高め4シームをラインドライブでライト前に運ぶシングルヒット。この後、2死満塁のピンチを招いたスキーンズだったが、テオスカー・ヘルナンデスを三塁ゴロに打ち取り、5回3失点で降板、3勝目を手にした。

15歳の時に大谷のアナハイムでのメジャー初登板を球場で観戦し、自身も大学時代は二刀流で活躍したスキーンズ。憧れの選手との初対戦で臆することなく立ち向かっていく姿は爽快感に満ちていた。実は、スキーンズは左打者から遠ざかるようにして落ちていく“スプリンカー”(スプリッターとシンカーの中間)という魔球の使い手でもあるのだが、今日の登板は真っ向勝負で大谷に対峙していた。そして、そんな若武者相手に貫録を見せつけた大谷もまた見事だった。

かつて、松坂大輔とイチローの対決が日本のファンを熱狂させたように、スキーンズと大谷も今後、長きにわたって何度となく球場を沸かせることだろう。

構成●SLUGGER編集部

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