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特集はみそ蔵の取り組みです。みその消費量は減少傾向が続いていますが、長野県千曲市のみそ蔵はみそを使ったパンの人気を足掛かりに、地道な対面販売もしてみその魅力を届ける取り組みを続けています。
■首都圏でみそなど発酵食品の魅力PR
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5月18日―。
週末、横浜市で開かれた「マルシェ」。全国各地から集まった約30のブースが出店していました。
味噌蔵たかむら・高村佑樹専務
「これが麹の割合が一番多いみそ」
その一つが千曲市の「味噌蔵たかむら」のブース。
横浜市民:
「長野のおみそというと特別な感じがして、だいたいおみそ、毎回買いに来ます」
「コクがあるんじゃないか。ヘルシー感もあってばっちり」
みそはもちろんですが、みそを使ったパンなども販売していました。
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味噌蔵たかむら・高村佑樹専務:
「マルシェって、お客さまと直でお話しできる貴重な場でもある。大切にしていきたい」
首都圏でのイベント参加は8年ほど前から。
みそなど発酵食品の魅力を対面販売でアピールしています。
■創業100年以上の老舗みそ蔵
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「たかむら」の創業は大正8年・1919年。
しょうゆの醸造所として始まり、戦後の1949年ごろからみその生産も始めました。
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味噌蔵たかむら 3代目・高村秋光社長:
「一度来てもらって、一度うちのみそを使ってもらえれば、『この味だ』って分かっていただけると思います」
■甘みとコク 地元客を中心に支持
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味には自信あり。
作る様子を見せてもらいました。
大豆は甘みが特徴の「ナカセンナリ」。全て県内産です。
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圧力窯で煮た大豆に県産米で作った「麹」と塩を加えて、専用の機械で混ぜ合わせます。
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工場長・茂木義明さん:
「細かく、手作業も多いので手を抜かずに。もちろん豆も大事なんですけど、麹の出来がみその品質に影響してくるので気を付けている」
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1回に仕込む量は約1200キロ。
「温醸」と呼ばれる室温30℃ほどの部屋や冷蔵庫などで3カ月以上熟成します。
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クラシック音楽も聴かせながらー。
工場長・茂木義明さん:
「いい音楽の音波というか、振動みたいなものが良いんじゃないかという説がある。(味が)少しでも良くなればいいかなと」
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こうして出来上がったみそは甘みとコクがあり地元客を中心に支持されてきました。
旧戸倉町出身の男性:
「ここのやつじゃないとダメなんで。他とは比べ物にならない」
旧戸倉町出身の女性:
「『ふき味噌』が食べたくて。おいしいって評判です」
■長く逆風…みその消費量は減少傾向
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自慢のみそですが、実は長く逆風にさらされてきました。
総務省の家計調査によりますと一世帯当たりのみその年間購入額は減少傾向。1980年代は3500円から3800円程度でしたが、2000年代に入ると3000円を割り、2023年は2103円まで下がりました。
食卓の洋食化の影響とみられます。
■みそを使ったパンを発売
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そこでー。
味噌蔵たかむら・高村秋光社長:
「需要を増やすにはどうしたらいいか。生みそを使った加工品に提供しながらやっていけば、ちょっと販路は拡大するかなって」
「たかむら」は加工品の販売に乗り出し、10年前、「おばすて味噌蔵ぱん」を発売しました。
地元の姨捨サービスエリアと共同開発したもので息子で専務の佑樹さんの伝手を頼り、岐阜県のメーカーに製造を委託、半年かけて完成しました。
デニッシュ風の生地に、みそと白あんを混ぜた「味噌あん」を練り込んであります。
味噌蔵たかむら・高村秋光社長:
「どのみそがいいかというのを最初苦労したかな。(使っているのは)ちょっと麹の少ない、ちょっとしょっぱめかなっていう(みそ)。それがかえって良かったんじゃないかな。どっちかというと甘めのパンなんで」
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(記者リポート)
「パンの甘みとみその塩味の相性がばっちりです。鼻にみそのいい香りが抜けていきます」
■口コミで評判 ヒット商品に
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サービスエリアではすぐに人気商品に。
「パネトーネ」という酵母によって賞味期限は1カ月半程度となっていて、土産品に「もってこい」です。
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姨捨サービスエリア(上り)・宮崎徹支配人:
「午前中に入荷するんですけど、場合によっては(その日のうちに)売り切れてしまうことも。(SAに)立ち寄るきっかけになる目玉の商品になっている」
始めて購入(上越市から):
「おみそは田楽とかにつけたりして食べるイメージなので、ちょっと珍しい」
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その後、口コミで評判が広がり、今は一部のスーパーや県内約60のコンビニエンスストアでも販売中。年間1万2000個以上を売り上げるヒット商品になりました。
姨捨サービスエリアでは、他に「たかむら」のみそを使ったラーメンも提供しています。
味噌蔵たかむら・高村秋光社長:
「(パンなどで)知った方が『お店どこですか』なんて言ってね、うちの方まで来てくれる人もね、いらっしゃる。本当にうれしいというか、これからもそういう形を継続していきたい」
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パンの他、根強い人気のしょうゆ豆や甘酒、漬物など多様な商品を揃えたこともあり20年前に開設したオンラインストアの会員数は約1万人まで増えました。
■首都圏の「マルシェ」への出店
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一方、対面販売にも力を入れています。
味噌蔵たかむら・高村佑樹専務:
「みそと白あんを混ぜて、『みそあん』が中に入っている」
冒頭で紹介した首都圏の「マルシェ」への出店。担当は専務の佑樹さんと妻のみなみさんです。
味噌蔵たかむら・高村佑樹専務:
「首都圏、人口が多いところなので、マルシェ出始めた時から、人の多いところでいろんな方に知ってもらいたいと。昔ながらの発酵食品は特に注目されていると感じますし、(首都圏は)食にこだわっている方、多いので」
■客の多くがリピーター
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毎月、都内と横浜に出向いており客の多くがリピーターです。
リピーター:
「味が深くて甘くて。おみそとか、発酵食品は極力食べるように」
客:
「きょうこれを目がけて来た」
高村佑樹専務:
「ありがとうございます」
「味噌蔵ぱん」はここでも人気!
リピーター:
「(いくつ購入?)6個。何もつけなくても、このままでおいしいのよ」
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こちらの女性客も「たかむら」のファン。この日もみそやパンを購入しました。
さっそくー。
「たかむら」のファン:
「しっとりしてて、ちゃんとみそ、高村味噌」
「ジャムつけなくていいし、和風と洋風の中間、おやつ代わりに。発酵のいい感じが、体にも良いし」
■発酵王国・信州の名を広めることにも貢献
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加工品に手応えを感じている「味噌蔵たかむら」。地道な取り組みは発酵王国・信州の名を広めることにも貢献しています。
味噌蔵たかむら 3代目・高村秋光社長
「『手前味噌』じゃないけど、いい商品作っていればお客さんは増えてくるのかなと。おいしいものを、安心安全なものを作って、お客さんに喜んでもらえればいいのかなというのが一番ですよね」