阪神・大山悠輔を絶不調に変えた根本原因…良かれと取り組んだオフの肉体改造が裏目

二軍での練習の大山(C)共同通信社

「どうやって打てばいいか分からない」という言葉が深刻な状況を物語っている。

4日に二軍落ちが決まった阪神の大山悠輔(29)のことだ。

打率はリーグワーストの.199で本塁打もわずか3本。岡田彰布監督(66)は「相当、自信を失っている」と曇り顔で、当面は二軍でミニキャンプを張ることになった。

開幕直前に下半身の張りでオープン戦を4試合連続欠場。ぶっつけ本番で開幕を迎えた影響もあるのだろう。昨季は全試合に4番で出場し、打率.288、19本塁打、78打点をマーク。99四球を選び、最高出塁率(.403)のタイトルを獲得した。2018年から昨季まで6年連続で2ケタ本塁打をマークした打者とは思えない惨状だ。

その大山について岡田監督は「体のキレが全然ない」とバッサリ。力んで直球に差し込まれる場面が多いことに不満を感じているようだ。ロッテ、西武で通算2081安打をマークした名球会会員の山崎裕之氏はこう言う。

「大山ほどの選手なら、調子が落ちてきたときにどう対処すればいいかを理解しているはず。にもかかわらず、自分を見失うのですから、かなり深刻な状況と言えます。コンディションに問題がないのなら、岡田監督が言うように、まずは二軍で体のキレを取り戻すべきでしょう」

岡田監督は就任時から大山に個別指導を施すなど、目をかけてきた。打つポイントを前に置く「前さばき」を伝授し、大山もこれを実践しているが、コーチ経験のある阪神OBは「マッチョ化したことが裏目に出ているのではないか」と、こう指摘する。

「大山は今年、92キロから94キロに増量した。一年でも長くプレーするべく、オフから全身のウエートトレに力を入れた。それによってパワーがついた半面、瞬発力が落ちてボールへの反応が鈍くなっているように映る。筋力がアップすると、感覚にズレが生じやすい。自分がココだ! と判断して振りにいっても、体が言うことをきかず、バットが出てこなくなる。昨年は岡田監督の言う、前さばきが一定の成果を上げたかもしれませんが、打撃は一つ一つの動作の積み重ね。一つでもズレが生じると、全体が狂ってしまう。いくら修正しようと思っても、なかなか立ち直れません」

復活する日は来るのか……。(【後編】につづく)

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苦しんでいるのは大山だけではない。5月中旬から二軍で調整を続けている佐藤輝明(25)もしかりだ。

なぜ佐藤輝は不振に陥ったのか。関連記事【後編を読む】…では、原因となった「真犯人」について詳しく報じている。

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