「グミ」が空前の大ブーム メルカリで1万円超え商品、大行列の新食感まで…ガムを逆転した理由は

プレッツェルの形をした新食感グミ『グミッツェル』 撮影/編集部

いま、空前のグミブームが到来中だという。2021年度には過去最高(当時)の市場規模を記録し、チューインガム市場を上回ったことも大きな話題となった“グミ”。全国紙経済部記者が解説する。

「ガムの市場規模は17年には823億円あったのが、21年には593億円と先細るばかり。一方で、グミは17年に市場規模555億円から21年には635億円と順調に成長を遂げており、ガム市場を逆転。さらに22年には前年比23%増となる781億円、23年は前年比24%増となる972億円と、いままさに急成長中なのです」

こうした勢いは、主に若者が牽引していると考えられている。

「グミをどのぐらいの頻度で食べるかをLINEヤフー株式会社が23年に調査したところ、“週に1日以上食べる”と回答した割合は10代が最も高く、年代が上がるにつれ、低くなっていく。逆に“全く食べない”という回答は年代が上がるにつれ高くなる傾向にありました」(前同)

グミの若者人気は、高校生を対象とした「これから流行しそうだと思うスイーツ・飲みものは?」というLINEヤフー株式会社の調査結果からも明らかで、23年・24年と2年連続で男子・女子ともにグミが1位に輝いている。

グミはなぜここまで人気となったのだろうか。若者文化や流行の最先端に詳しいトレンドアナリストの太田まき子氏に解説してもらった。

「ガムが不人気なのは、味がなくなるまで噛み続けるのも、口の中で噛んだものを吐き出して捨てるのも“面倒”という意識が、若者の間で広がっているからではないでしょうか。

一方でグミは、ここのところどんどんと種類やフレーバーが増えていて、“選ぶ楽しさ”も比例して増えている。酒のおつまみにしたり、冷凍するなど食べ方も多様化。噛みごたえのあるハード系グミは“ガム派”の需要にも応えますし、男性の支持を得ているのも大きいでしょう」(太田氏)

■“幻のグミ”はメルカリで1万円以上で落札の異常事態

右肩上がりの急成長を見せるグミ市場。そこではさまざまな新商品が次々と生まれているが、中には入手が難しい商品も現れている。

特に“幻のグミ”とも呼ばれる商品は、フリーマーケットアプリ『メルカリ』で信じられないほど高騰しているという。前出の太田氏が説明する。

「マスカットシロップをシャリシャリ⾷感の砂糖で包み込んだ『シャインマスカットボンボン』(239円・税込/以下同)は、関東のファミリーマート限定で販売したところ、SNSを中心に話題となり、数量限定販売だったため即完売。“探し回ったけど全然見つからない”といった嘆きの声がネット上にはあふれました。

メルカリでは、未開封のものがなんと1万円以上で落札されることも。2000~3000円で安いと思ったら、ひと粒ふた粒のバラ売りだったり、ただの空の袋だったりと、異常事態になっています」(太田氏)

“手に入らない”ことがあまりに話題になったためか、Z世代総合研究所(Z総研)が24年6月に発表した『Z総研2024年上半期トレンドランキング』では、『流行った食べもの・飲みもの』の2位にこの『シャインマスカットボンボン』が食い込んでいる。Z世代もこの幻のグミを探し求めていたようだ。

また一方で、手には入るものの、大行列ができるグミもある。

「カンロ飴などで知られるカンロ株式会社の『グミッツェル』(170円)ですね。同社の直営店『ヒトツブカンロ』とオンラインショップのみで販売している新世代グミで、焼き菓子のプレッツェルのような形がキュート。また、外側がパリっと、中はしっとりという食感も新しい。

あまりの人気に販売個数の制限に加え、23年からは整理券を導入していますが、それでも売り切れが出る日もあるほど。整理券なしではまず手に入りません。今年、日本テレビ系のお昼の情報番組『ヒルナンデス』が2月、4月、5月とたびたび紹介していて、ますます手に入りにくくなりそうですね」(前同)

東京の新名所・東急プラザ原宿「ハラカド」の『ヒトツブカンロ』の前には、整理券を持った購入待ちの列が並ぶ 撮影/編集部

入手困難なグミを手にするという自慢ができることも、SNS世代には刺さるのかもしれない。活況のグミ市場、次はどんなヒット商品が生まれるだろうか。

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