ついにつかんだGT300初勝利にD’station Racing首脳陣も喜び「勝つときはこういうもの」

 6月1〜2日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGT第3戦鈴鹿。GT300クラスでは、藤井誠暢/チャーリー・ファグ組D’station Vantage GT3がポール・トゥ・ウインという圧勝劇を収め、チームとして初めてのポールポジション、優勝という結果を収めた。2017年から自チームとしてスーパーGTに挑み、なかなか手が届かなかった結果が復帰初年度3戦目で手に入ることになったが、チーム首脳陣は驚きと喜びのコメントを残している。

 D’station Racingは、2013年に星野敏オーナーが自らポルシェカレラカップ・ジャパンに参戦を開始したときから活動を開始。スーパーGTではチームへのスポンサードから活動が始まり、2017年からは自チームとして参戦。藤井とスヴェン・ミューラーというコンビでポルシェ911 GT3 Rを走らせ、GT300クラス、スーパー耐久、カレラカップと複数カテゴリーに挑戦を開始した。

 初年度は第2戦富士、第7戦タイで3位表彰台を獲得。2018年も第1戦岡山で2位を獲得するなど活躍をみせ、2019年にはアストンマーティン・バンテージAMR GT3にスイッチ。ただ、この年からはなかなか表彰台には届かず、PACIFIC RACINGと組んだ2020年も表彰台はなかった。

 2021年からはWECに挑戦を開始し、GT300への挑戦は2024年まで待たなければならなかったが、その復帰初年度、しかも3戦目でチームはパーフェクトとも言える勝利を飾った。奇しくも、アストンマーティンにスイッチしてからの初勝利も2019年スーパー耐久第1戦鈴鹿。鈴鹿は不思議な縁がある。ちなみに、19年モデルのバンテージAMR GT3の世界初勝利も、今季から使う新型バンテージAMR GT3の世界初勝利もD’station Racingが鈴鹿で挙げたことになる。

 これまでの長い活動でチームメンバーは変わってはいるが、チームを牽引してきた首脳陣からはついに到達したGT300初勝利への喜びが聞かれた。

「ようやくポディウムの頂点に立つことができました。感無量です」というのは、自らもドライバーとして活動を続ける星野敏オーナー。

「公式練習からクルマが速く、上位進出はできるとは思っていましたが、ポールポジションを獲得することができました。決勝でもなんとかその位置をキープしたいと逃げ切りを狙っていたものの、うしろからタイヤ無交換作戦のクルマなどがあり緊張しました。しかしなんとか作戦どおり逃げ切ることができ、最後は大きなリードを築くことができました」

 また、プロ野球中継の解説や馬主としての活動の日程が重ならないかぎり、全戦サーキットを訪れチームのムードを高めてきた佐々木主浩総監督も「すごいレースでしたね」と語った。「開幕戦からずっと良いタイムは出ていたので、クルマに速さがあるのは分かっていたのですが、いろいろなことがありましたからね」と開幕2戦でのタイヤトラブルを振り返りながらも、そこからのチームの努力を称えた。

「悔しい思いからチームのみんなが頑張ってセッティングして、クルマを良くしてくれたことがこうしてポールポジション、そして優勝という結果に繋がったので、本当にチーム全員で勝ち取った勝利だったのではないかと思います」

 そして星野オーナー、佐々木総監督、さらにマネージングディレクターを兼務し、チームを引っ張ってきた藤井から異口同音に聞かれたのが「勝つときはこういうもの」という言葉だった。

 勝敗を左右する要素が多く、プロが競い合う現代のスーパーGTでは、年間1勝できればかなりの好結果。表彰台でも御の字という世界だ。GT300は特に顕著でもある。これまで勝利を目指し体制を構築し、苦労も重ねてきたが、なかなか届かなかった勝利はの日は突然やってきた。ただ、「すべてがうまく運んだレースウイーク(佐々木総監督)」を送り、歯車が噛みあえばこうして勝利に届くことができる。勝負の世界に身を置いてきた男たちだからこそ出てきた言葉だろう。

 星野オーナーは続けて「レースというのは面白いものですね」と語った。

 D’station Racingは今季、WEC第1戦で表彰台を獲得するなど良い“流れ”にも乗っているようにも感じられる。6月8〜9日にはGTワールドチャレンジ・アジアのジャパンカップ、さらに翌週には星野オーナー自らが出場するWEC第4戦ル・マン24時間を迎える。

「この勢いをチームとして良い流れにして繋げたいですね」と星野オーナーは笑顔をみせた。

2024スーパーGT第3戦鈴鹿 D’station Racingの藤井誠暢とチャーリー・ファグ、星野敏オーナー、佐々木主浩総監督、田中哲也スーパーバイザー
2024スーパーGT第3戦鈴鹿 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)
2019年にD’station Racingがピレリスーパー耐久シリーズに投入したアストンマーティン・バンテージGT3
2019年のスーパー耐久第1戦鈴鹿で勝利を喜ぶダレン・ターナー、星野敏、近藤翼と総監督の佐々木主浩

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