【葬儀のマナー】兄弟姉妹が喪主の場合に、どう手伝うとよい? 50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

いくつになっても迷うことの多いおつきあいのマナー。歳を重ねると、自分や配偶者の親の葬儀なども現実味を帯びてきますね。あまり考えたくはないですが、備えあれば憂いなし。そんなときにどうしたらよいのか、77歳現役マナー講師で人生の先輩でもある岩下宣子さんに、Q&A形式で伺います。

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Q1 兄弟(姉妹)が喪主の場合、どう手伝う?

親の葬儀の喪主は兄です。妹の立場ではどういう手助けをしたらよいでしょう?

A.喪主というのは、葬儀屋さんがサポートしてくれたりもしますし、ハウツーの記事もいろいろとあるのですが、意外と見当たらないのが、喪主の兄弟姉妹はどうふるまえばよいのか、ということではないでしょうか。

葬儀までに時間があれば、まず喪主のご兄弟に、人手が欲しいのか、葬儀費用の折半が必要かなど、どこを助けて欲しいのか、聞いてみるのがいちばんでしょう。

とはいえ多忙な葬儀前、ゆっくりと話し合う時間がない場合、言われなくてもまずできることはお金を包んで行くことかと思いますが、兄弟の相場としては、お香典として10万円程度と言われています。

ただこれも、経済的な状況がゆるせばということで、金額の問題ではありません。どういう規模のお葬式をするかによっても費用が違ってきますので、よく話し合って、状況に合った金額を包めばよいのではないでしょうか。

また、一般的に仏教の場合は、初七日、四十九日、一周忌など、葬儀以降も法事が続くものです。そのたびにお寺への謝礼や、親族での食事会など、喪主は出費が続くもの。そういった法事の際にも、できれば出席者1人につき1万円程度(夫婦で出席なら2万円、など)を目安に、お線香代としてお金を包んで行くと、気持ちも伝わりやすいでしょう。

Q2 家族葬のメリットとデメリットは?

最近流行りの家族葬。ベストな選択でしょうか?

A.親が亡くなったときに、まず頭に置いておきたいのが「お葬式は亡くなった人と、その人とお別れしたい人のための、人生最後のお別れ式」だということ。

亡くなった親御さんにもそれまでの大切な人間関係があって、家族や親戚以外にもお別れを言いたいという人がいるはずなのね。

それを考えると「家族葬」という、家族しか行ってはいけないんじゃないか?と思わせるような形は少し疑問に思います。

これはある葬儀屋さんのお話ですが、実は「家族葬」でも一般的なお葬式でも、費用はそれほど変わらないのだそう。それに、葉書などで「家族でお別れをしました」と連絡をすると、あとから個別にお線香を上げにいらしてくださったりする人もいて、ありがたいことなのだけど、対応するほうも大変なの。

だから一般葬で関係各位に集まっていただいたほうが、喪主にとってはやりやすいのではないかしら。

ただ一般葬にする場合、故人の葬儀をどなたに知らせたらよいか悩むかもしれません。

これはできればお元気なうちに、連絡希望のお友達を、ご両親に聞いておいたほうがよいですよ。

たとえば友人知人リストに「◎ 亡くなったらすぐ連絡する人」、「○ お通夜と葬儀の連絡を」、「△ 葬儀のみ」などと印をつけておいてもらうのもひとつの方法です。

いちばん親しいご友人に連絡をして、そこから皆さんに伝えてもらうというのもよいでしょう。

Q3 友人の親の訃報を聞いたらどうする?

最近増えてきた友人の親の訃報、友だちとして何をしたら?

A.お友だちとの関係性によりますが、とても親しいお友だちだったら、きっと親御さんが亡くなられる前から様子を伺っていると思います。相手の気持ちを考えると「もしも」の話をするのは憚られるけれど、無理のないところで、何か手伝って欲しいことがあるか、聞いてみたらよいと思います。

そこまで近い間柄でない場合は、葬儀(式)にお香典を包んで、励ましや労いの言葉をかけてあげられたらよいですね。結婚は招待されますが、葬式は連絡を受けてお別れに行きます。連絡を受けて、故人とお別れがしたいのならば、参列すればよいのだと思います。そしてご葬儀関連の忙しさが落ち着いたら、塞ぎ込んだりしていないか連絡して、楽しい企画に誘ってみたりしたらどうでしょう。

兄弟姉妹の場合でも同じですが、親との別れ、お葬式という辛い局面では、それぞれの感情がぶつかったりしがちなので、お友だちならなおさら、こういうときこそコミュニケーションを大切に。相手を理解することが大切ですね。

しばらく放っておいて欲しいと思っているお友だちがいればそのように接してあげて、でも心は寄り添って…… メールなどでもよいじゃない? あなたのことを気にかけていますよ、ひとりじゃありませんよ、とサインを送ってあげるのがよい関わり方かなと思います。

岩下先生のまとめのひとこと

「お香典は心のキャッチボール。お金だけれどお金じゃない、心のやりとりなんですよ」

※2023年11月19日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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