【色の名前クイズ】どっちが「濃色(こきいろ)」?

日本には古くから伝わる色の名前があります。名前から想像できるものもあれば、予想外なものも。ここでは『増補改訂版 色の名前事典519』より、あまり聞きなれない色の名前を取り上げ、クイズにしました。今回は「濃色(こきいろ)」。果たして、濃色はどちらでしょうか?

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濃色は【A】or【B】?

【A】
【B】

「濃色」というと、すべての“濃い色”が思い浮かんできますが、中でもどのような色を指すのでしょうか?

いずれが濃色なのか、次のページで、濃色と、もう一色についても色名の由来を詳しく解説しています。

濃色は【A】

ただ濃い色のことではなく、深紫(こきむらさき)のこと。昔は色といえば紫のことで、特に紫とことわるまでもなかったのです。深紫は、天皇、皇太子の袍(ほう)を別格とすれば、臣下では最高位を象徴する極官の色とされていました。そこで至極色(しごくいろ)とも呼ばれています。英語のシュプリーム(supreme)と同じ由来です。ただし、シュプリームはディープブルーの別名。

古代の日本で、大陸との間に人や物の交流がさかんになり、渡来人が増加するにつれて、国家としての体面が配慮されるようになり、推古天皇の11年に聖徳太子によって初めて冠位十二階が定められ、位による冠の色が決められました。それが衣服の色にも適用され、朝服の色の規定ができたのですが、常に深紫または黒紫(こきむらさき)は最高位の色と決まっていました。その結果、紫は日本の歴史では特別な色になりました。

それでは【B】は何色?

【B】は煙草色(たばこいろ)

乾燥した煙草の葉の色に由来する色名。喫煙が健康に影響を与えるとして、愛煙家には肩身の狭いご時勢になっていますが、7世紀頃アンデス地方で生まれたとされる煙草は、当初は薬として用いられたよう。近世になってからは、生活にゆとりをもたらす嗜好品の一つでした。英語の色名には、これらの嗜好品からとられた色名がかなり多くあります。

日本語には、その種の色名はほとんどないから、この色名も外来色名がそのまま定着したもの。「たばこ」という言葉もポルトガル語から日本語になったもので、もとはアメリカ先住民の言葉でした。コロンブスの新大陸発見の副産物だから、ヨーロッパでも16世紀以後に知られるようになったわけで、英語のタバコブラウン(tabacco brown)という色名は、1789年になってから出現したもの。

※この記事は『増補改訂版 色の名前事典519』(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。


監修者
一般財団法人 日本色彩研究所

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

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