男子高校生40人以上が女子中学生1人を性的暴行した韓国の事件、被害者を手助けした享年39歳の女優とは?

韓国の国民的女優で、元巨人投手の故チョ・ソンミンさんとの結婚・離婚でも知られる故チェ・ジンシルさんが注目されている。

2004年に発生した「密陽(ミリャン)女子中学生集団性暴行事件」と関連した、チェ・ジンシルさんの美談が今になって再び広がっているのだ。

密陽女子中学生集団性暴行事件とは、2004年12月に慶尚南道(キョンサンナムド)の東部に位置する密陽で起きた実際の事件のこと。高校生44人が、隣接する蔚山(ウルサン)の女子中学生1人を密陽に誘い、1年間にわたって性暴行を加えたという痛ましい事件だ。

チェ・ジンシルさんの善行

6月6日、各オンラインコミュニティでは「2004年の密陽性暴行被害者に助けを与えたチェ・ジンシル」というタイトルの文章が拡散されている。

その内容は、かつてチェ・ジンシルさんが広告モデルを務めた建設会社から、品位維持義務の違反を理由に30億ウォン(約3億円)の損害賠償請求訴訟を起こされた際、弁護を務めたカン・ジウォン弁護士のインタビューに関連したものだった。

チェ・ジンシルさん

それによると、カン・ジウォン弁護士は当時、チェ・ジンシルさんと、密陽集団性暴行事件の被害者であるAさんの法定代理人を無料で引き受けていた。その“無料弁護”について、芸能人への特別な恩恵だとの批判が続いたため、最終的にカン弁護士はチェ・ジンシルさんから弁護士費用を受け取ることにした。

カン弁護士はチェ・ジンシルさんから受け取ったお金を、Aさんを助けるための寄付金とすることにした。

カン弁護士はあるメディアとのインタビューで「(その時、Aさんの家族は)生活費なしで逃げた状況なので、食べていくことができなかった」とし、「チェ・ジンシルさんに(私に渡す受任料の代わりに)1000万ウォン(約100万円)を準備するよう伝え、そのうち500万ウォンは性暴力相談所に支援費として送り、残りは被害者(Aさん)の母親に送った。チェ・ジンシルさんも意味のあることだとして、快く応じてくれた」と明かした。

また、チェ・ジンシルさんの弁護を無料で引き受けた理由として、「これは個人対個人の訴訟ではなく、私たちの社会に根深い反女性的な社会的偏見を背景にした事件であるため、無料弁論をすることに決めた」とし、「家庭内暴力や離婚は経験した人だけが知っている。危機に瀕した弱者を助けるために、反女性的訴訟に対抗している」と話した。

なお、韓国の国民的女優として活躍していたチェ・ジンシルさんは、2000年12月には元読売ジャイアンツの野球選手チョ・ソンミンさんと結婚したが、夫婦間の葛藤や不仲が明らかとなり、2004年8月に離婚した。

チェ・ジンシルさんは2005年のドラマ『バラ色の人生』、2008年の『ラスト・スキャンダル』で完全復活を果たしたように見えたが、女優生活の間ずっと付きまとったうつ病とオンライン上の悪質コメントに耐えられず、2008年10月2日に突然この世を去った。享年39歳。

その2年後の2010年には実弟で歌手兼俳優だったチェ・ジニョンさん(享年39歳)が突然亡くなり、2013年1月には前夫であるチョ・ソンミンさん(享年39歳)もこの世を去って多くの人々に衝撃を与えた。

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