『Believe』木村拓哉が怒りに打ち震えた鬼の形相に 狩山が最後に信じられる人物は?

『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)第7話では「真相編」として、龍神大橋崩落の真実が、各登場人物の証言から浮かび上がっていく。

現時点で黒幕として浮上しているのは、東京都知事の榛名文江(賀来千香子)。龍神大橋は黒鉄島開発プロジェクトの一環であり、それを統括しているのが榛名だ。崩落の原因にあるハンガーケーブルの破断は、事故で亡くなった若松(竹内涼真)の会社が安全性の低いワイヤーに変更し、その差額を負債に当てていたために起こった人災だとされていたが、実際は帝和建設の常務取締役・桑原(岩谷健司)が若松に手付金を渡していた。

指示をしていたのは社長の磯田(小日向文世)。その背後にはゼネコンに建設を発注する都政という巨大な存在がある。「都」「ゼネコン」「下請業者」の3つの構造になっており、狩山(木村拓哉)と接触する坂東組の社長・坂東五郎(北大路欣也)が言う「俺たち下請けとあんたらの間には大きな川がある。そこに橋はかかってない。汚れを下に押し付けるゼネコンがいて、それを引き受ける俺たちがいる」というセリフが印象的だ。

桑原が若松に金を渡す現場に同席していた裏切り者が南雲(一ノ瀬颯)という新事実とそれを知る婚約者の絵里菜(山本舞香)は次回「最終章」に繋がるキーパーソンになっていくだろう。そして刑務官の林(上川隆也)と榛名の繋がりも少しずつではあるが明らかになった。林は冤罪を訴える受刑者から家に火を放たれ妻を亡くし、自らも大火傷を負っている。

狩山を病院から逃がしたのは「贖罪」としているが、当時法務副大臣だった榛名に林は接触しており、放火事件について話す記事にて榛名は「私に再審の手続きについて質問に来たくらいですから」と答えている。狩山の脱走後「私です。成功しました」と報告する林と、車内での「あなたが生活に困ることは一生ないでしょう」という榛名の言葉から、林もまた榛名の配下にいることは間違いない。

狩山を逃がしたのは、帝和建設の悪評を増長させるため。そうすることで榛名は龍神大橋の建設再開から帝和建設を切り、自身は危ない橋を渡ることなく身を引くことができるというわけだ。密談の席で磯田は土下座も虚しく榛名から手を切られるが、それは帝和建設にも暴露という“逆襲”のチャンスが残されているということでもあるだろう。榛名が去り、土下座から頭を上げる磯田の表情には怒りと悔しさが滲んでいる。

第7話で狩山は弁護士の秋澤(斎藤工)と坂東と接触をするが、自分のこと以外信じることができなくなった狩山の冷酷な眼光。特に差し伸べられた手をあっけなく引っ込められた坂東に向ける怒りに打ち震えた鬼の形相、その瞳の変化は木村拓哉が狩山として初めて見せた表情、演技である。

最後に唯一信じられる存在は愛する妻の玲子(天海祐希)。しかし、彼女にもまた狩山は裏切られようとしていた。

(文=渡辺彰浩)

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