大きく分けると7つに分類される?!発達障害には、どんな種類がある?【心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話】

発達障害は大きくわけて7種類

発達障害の診断基準となっているのが、「アメリカ精神医学会(APA)」が定める『DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)』です。これは、精神疾患の病名、診断基準、診断分類などをまとめたもので、世界基準となっているものです。

2013年に刊行された『DSM-5』は、2022年に増補改訂版にあたる『DSM-5-TR』にアップデートされました。そのなかで、発達障害は「神経発達症群」という大きな分類でまとめられ、「知的発達症群(ID)」「コミュニケーション症群(CD)」「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「限局性学習症(SLD)」「運動症群(MD)」「他の神経発達症群」という7つの診断名に分類されています(下図参照)。

本書でも診断名の表記はこれに準じていますが、発達障害のみ、本来は神経発達症群とすべきところを、広く一般的に使用されていることから引き続き発達障害と表記することとします。

日本では、2004年に発達障害児の早期発見と支援を目的に施行された『発達障害者支援法』において、「自閉症」「アスペルガー症候群」「その他の広汎性発達障害」「学習障害」「注意欠陥多動性障害」が「発達障害」とされています。

これらの診断名は古い基準であるため、名称が異なりますが、基本的には『DSM-5』の定義と大きく異なるものではありません。

『DSM-5-TR』による「発達障害」の分類

神経発達症群

・知的発達症群(ID)

・コミュニケーション症群(CD)

・自閉スペクトラム症(ASD)

・注意欠如・多動症(ADHD)

・限局性学習症(SLD)

・運動症群(MD)

・他の神経発達症群

『発達障害者支援法』による「発達障害」と「発達障害者」の定義

第二条.この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

2.この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。

【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし) 日本文芸社刊

監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。

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