高所恐怖症は鑑賞“ガチ”注意『FALL/フォール』!これがホントの“沼”映画?『底なし・・・』!アットホーム地獄行き『奈落のマイホーム』!イッキ観TV放送

『FALL/フォール』©2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

厳選サバイバル映画TVでイッキ観!

ごく限定的なシチュエーションにおける人間たちの悲喜こもごもを描くサバイバル映画は、国や時代を問わない鉄板ジャンルとして人気を集めてきた。舞台設定さえハマれば一定のスリルが担保されるため、比較的低予算でも作りやすいエンタメ系ジャンル映画の一つである。

ひとえにサバイバル映画と言っても、ドタバタ劇がベースのコメディ調のものから、文字どおり生死をかけたシリアスなものまで様々だ。アッパーなテンションを維持してイッキに観せきるスタイル、緩急を織り交ぜて極限状況を疑似体験させるスタイルなどなど、工夫次第で大化けする夢のあるジャンルとも言えるだろう。

そんな数あるサバイバル映画から、近年公開の話題作が6月、一挙テレビ放送される。そのなかから、高所恐怖症は失禁モノのアメリカ産“鉄塔”サバイバル『FALL/フォール』、じわじわ死に近づいていくコロンビア産“沼”サバイバル『底なし・・・』、あまりの極限状況が逆に可笑しい韓国産“小市民”サバイバル『奈落のマイホーム』を紹介したい。

ようこそ、地上600mの絶望へ!『FALL/フォール』

事故で夫を亡くしたベッキーを立ち直らせようと、親友のハンターは地上600mのテレビ塔へのクライミングを計画する。老朽化で足場が不安定な梯子を登り、2人はなんとか頂上へと到達。ベッキーはそこから夫の遺灰を撒き、新たな1歩を踏み出す決意を示す。しかしその直後、梯子が崩れ落ちてしまい……。逃げ場のないモンスター級の超高層鉄塔を舞台に、絶体絶命の危機を描くサバイバル・スリラー。

「何でわざわざそんな危ないところに…」と真っ当なツッコミはさておき、ビルや飛行機よりも圧倒的に拠り所の少ない“錆びついた鉄塔”というメイン舞台からして失禁、いや失神レベルの恐ろしさ。この鉄塔は「Sacramento Joint Venture Tower」という実在するテレビ塔をモチーフにしているそうで、その高さは東京スカイツリー級! “足を踏み外せば即死”の状況は、山岳モノや海難モノとも異なる鋭い恐怖を味わえる。

限界夫婦を襲う絶望アラカルト!『底なし・・・』

仕事でコロンビアを訪れた離婚寸前のアメリカ人夫婦。2人は熱帯雨林をハイキング中、何者かに襲われる。しかも逃げている途中で流砂に足を取られ、泥沼にハマってしまった! もがけばもがくほど沈んでいき、嵐に見舞われて体力も低下。さらに、近くには猛毒のヘビと殺人蟻がいた……。泥沼にハマった離婚寸前の夫婦の、“底なし”の危機からの脱出を描くサバイバル・スリラー。

もしや、離婚待ったなし夫婦を“泥沼”とかけたのか……? という疑問はさておき、アメリカ映画だったら乾いた流砂になりそうなところ、ある種のロマンすら感じさせる湿度高めの底なし沼をチョイスしたところや、まるで前菜のように悪人が登場するあたりもコロンビア映画らしくて(?)新鮮。いちいち対立しまくる不仲夫婦だけではパンチが弱いと思ったのか、危険生物をポイポイ投入するという低予算ならではの工夫も随所に感じられる。

夢の我が家が地下500mに落っこちた!『奈落のマイホーム』

地盤沈下により、韓国の大都市ソウルの中心に突如として“巨大な穴”が出現。それは一瞬にして巨大なマンションをも飲み込んでしまう。建物に取り残されたのは、ようやくマイホームを手に入れたサラリーマンや迷惑な隣人たち。日常生活では決して相いれない面々は、未曾有の緊急事態をサバイブできるのか……? 巨大陥没穴(シンクホール)からの決死の脱出を描くパニック群像劇。

韓国映画ファンならばその顔を知らない人はいない、極悪殺人鬼からヘナチョコなチンピラまで何でもこなす個性派俳優、キム・ソンギュンが素晴らしい小市民演技を披露。セクシーなイケメンなのにコメディ映画にも出まくる実力派、チャ・スンウォンとのやり取りも可笑しい。しかし、2016年の博多駅前道路陥没事故を思い出させるディザスター描写のリアルさは凄まじく、思わず「ハルモニ……!(泣)」と叫びたくなるなシーンもあり、2021年の韓国興収2位も納得の快作である。

『FALL/フォール』、『底なし・・・』、『奈落のマイホーム』、『ディープ・ブルー』(1999年)、『ブレット・トレイン』(2022年)ほかCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:24時間 決死のサバイバル」で2024年6月放送

© ディスカバリー・ジャパン株式会社