笹生優花の自信は「試合よりも練習から」 公式会見で国籍に関する質問も

笹生優花は優勝したメジャーから連戦に臨む(撮影/村上航)

◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシック by Acer 事前情報(6日)◇シービュー ベイコース(ニュージャージー州)◇6190yd(パー71)

「全米女子オープン」2勝を喜んだのはツアーの仲間や日本のファンだけではない。笹生優花の快挙は幼い頃に生活したふるさとでも祝福ムードが続く。メジャー翌週大会の開幕前日の公式会見には、オンラインで多くのフィリピンメディアも参加した。

オンラインを交えた公式会見に出席した(撮影/村上航)

3年ぶりのメジャー制覇から4日。「最後のパットが決まってから人生はどう変わったか?」と問われた笹生は、「変わらないですね」と苦笑いした。「(会場近くの)アトランティックシティにドライブで来て、この試合のために準備をしているだけ。それだけで何も変わらない」。この日はプロアマ戦に出場。シーズン初の3日間大会に向けて淡々と調整した。

快挙を遂げても態度は同じ。笹生の場合、「自信は練習から来るもの」だというのが持論だ。「大きな試合で勝つことは、少しは自分の支えになります。でも(自信の)多くは練習で培われる。だから私はプロセスに集中して、次の試合に自信を持ち込めるようにしたい」

フィリピンからの質問には時折、タガログ語を交えながら終始英語で回答した。同国内で若いゴルファーをサポートするスポンサーへのメッセージを求められると、笹生自身への支援に感謝しながら、「才能はすごく大切なものだけれど、選手は努力する必要がある。ハードワークはスポンサーが選手に与えるものではありません。自分でやらなくてはいけないこと」と若い世代へエール。「フィリピンのゴルフ界は良い状態にある。アジア大会で私たちが優勝してから、すごく成長していると思います」と発展を喜んだ。

開幕前日はプロアマ戦に登場(撮影/村上航)

2021年はフィリピン国籍で全米女子オープンを制し、「東京五輪」に出場した。今回は日本国籍で優勝、8月の「パリ五輪」を控える。「国籍を日本に変えたことが、2回目の全米女子オープン優勝に繋がったか?」という問いに笹生は静かに答えた。「国籍の変更がゴルフに影響することはありません。優勝できたのは練習とチームのおかげ」

日本の国籍法では20歳に達するまでに重国籍となった場合、22歳になるまでどちらかを選ぶ必要があった。選択から約3年が経とうとしている今も、フィリピンは活躍に熱狂してくれている。

笹生のアイデンティティは今も昔も同じ(撮影/村上航)

「私はずっと日本人であり、フィリピン人です。浮き沈みがあっても支えてくれたフィリピンにいる家族とスポンサーの皆さんに感謝しています。自分の名前の隣に2つの国旗を掲げられたらそうしたいけれど、そうできない。ただ、(今は)私が半分フィリピン人で、半分は日本人であることを世界が知ってくれている。フィリピン代表だった時も、私は半分は日本人だといつも思っていた。だから日本を代表しても、半分はフィリピン人。それはずっと変わりません。ずっとフィリピンが大好き。(国籍が変わって)変わるものは、書類だとか、そういった外側のものだけです」

(ニュージャージー州ギャロウェイ/桂川洋一)

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