金田喜稔がミャンマー戦を斬る!「中村はスーパー。日本の新たな武器だ。小川と相馬も高く評価したい」

[W杯予選]日本 5-0 ミャンマー/6月6日/トゥウンナ・スタジアム

北中米ワールドカップのアジア2次予選で、日本は敵地でミャンマーと対戦し、5-0で大勝した。

日本は3-4-3のシステムを採用したね。相手が5-4-1だったことで、2列目とウイングバックの4人が前線に上がることで全体を押し上げて、1トップも含めて5対5の局面を作る狙いがあった。

相手の5バックに対して前線に上がった5人で攻める時間帯を長くして、1対1での個の強さで相手を崩しながら点を取るのがベストかなと思って見ていた。

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序盤のビルドアップ時は、相手のフォワードが1枚だから、3バックの左右の2人のどちらかは、もっと上がってほしい思っていた。2対1で1人を余らせて、どんどん攻撃参加して良いのではないかってね。

途中から3バックの左の伊藤が高い位置を取っていたので、左サイドはウイングバックの中村と中盤の鎌田との攻撃が非常に機能していたよ。それが先制ゴールにも結び付いていたなという印象だった。

ゴールラッシュを締めくくる5点目も決めた中村は、“スーパー”だね。本当にシュートが上手い。先制点はたぶん股を狙っているのではないかな。ドリブルのタッチも面白いし、リーチもあるから相手はなかなかボールを奪いに行けない。ワールドカップ以降で、日本の新たな武器になっているよ。

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1トップで先発した小川は正直、前半は全く機能していなかった。味方の特徴を掴み切れずに、周りの選手を活かす動き出しができていなかったし、本人もへこんだと思う。

交代させられても仕方ない状況のなかで、2得点を決めたのは非常に評価できるよ。目に見える結果でアピールできたし、さらに自信になると思う。

それから、キック精度という部分で途中出場の相馬も素晴らしかった。

小川の1点目をアシストしたクロスは、タイミングやコース、クオリティも完璧。ワールドカップにも呼ばれていたし、途中出場でも必ず及第点以上の活躍を見せてくれるから、彼も高く評価しているよ。

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11日のシリア戦を含め、6月の2試合は勝たなければいけないけど、消化試合ではあるので、いろいろなことを試していくのだろうなと思った。

1つのオプションとして3-4-3はアリだと思うし、前回のワールドカップでも試していたよね。あの時は三笘や伊東がウイングバックをやっていたけど、守備の強度で考えれば、菅原や冨安などのディフェンダーを入れることも必要になってくる。

対戦相手によって3-4-3のどこに誰を配置するのかは、この消化試合を上手く使ってトライしてほしい。

【著者プロフィール】
金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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