PE業界会議、2年連続で逆風 高金利で買収枯渇

Emma-Victoria Farr Amy-Jo Crowley

[ベルリン 6日 ロイター] - ベルリンで今週開かれたプライベートエクイティ(PE)業界の年次会議「スーパーリターン」は昨年に引き続き、高金利を背景とする業界の低迷を嘆く声が多かったが、一部では逆境にあってもPEは底堅いとの楽観的なコメントも聞かれた。

PEファンドは現在、保有する資産の投資回収(エグジット)が滞り、資金調達も急減している。会議の参加者は5000人を超え、ディールの少なさや、買い手側と売り手側の資産価値評価に依然として隔たりがあることなどへの不満が出た。

ある弁護士は、一部PE顧客の間で、来年のディール回復に期待をかける「25年まで生き残ろう」とするマインドが広がっていると語った。

CVCのマネジングパートナー、ダニエル・ピンデュール氏は「われわれが直面する最大の試練は、おそらく地政学的な不確実性と、その結果としてのボラティリティ(不安定化)および視界の悪化だろう」と述べた上で、業界には耐性と順応性があるため「われわれは楽観している」と続けた。

ディールロジックのデータによると、今年はPEによる買収の出足が2020年以来で最も遅く、欧州、中東、アフリカで年初からこれまでの件数が20年以来の最低となっている。

ただ、金額ベースでは年初来1010億ドルと、前年同期の680億ドルを超えた。それでもピーク時の21年と22年の同時期に比べると半分以下だ。

コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーによると、PEが絡むエグジットは昨年3450億ドルと、前年から44%も減った。また、買収から長年が経過してエグジットできていない資産の価値は世界全体で過去最大の3兆2000億ドルに達した。

それでもEQTのパートナー、アシス・エチャニズ氏は「PE市場には芽吹きが見られる。例えばインフラは、安全なセクターとしての属性が認識されつつある」と楽観論を口にした。もっとも、業界全体でムードが上向いているとはとても言えない状況だという。

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